Industry Alphaは1月7日、独自開発のフォークリフト作業分析システムの本格展開を開始すると発表した。
この取り組みは物流センターや工場における、フォークリフト作業の可視化による物流現場の生産性向上を目指したもの。
製造・物流業界は、少子高齢化等に起因する労働力不足に直面しており、自動化の必要性が高まっている。中でもフォークマンの不足が深刻化しており、従来フォークリフトで行ってきた作業を今後どのように運営していくのか、各現場は対応を迫られている。
フォークマン不足の解決策として、3つのアプローチが考えられる。一つが「AGF(自動フォークリフト)による完全自動化」だ。しかし、技術的難易度が高い上、物流現場で求められるタクトタイム等が制約となり現状ではあまり導入が進んでいない。
そこで、「AMRとの併用による半自動化」と「既存フォークリフトの運用改善」の実現に貢献するとしている。
AMRとの半自動化および既存フォークリフトの運用改善には、いくつかの課題がある。半自動化では「必要なAMRの台数算出」や「自動化による費用対効果の予測」が、運用改善では「フォークリフトの稼働状況の把握」が重要な検討項目となる。
そこで同社は既設のフォークリフトに外付けで設置可能な作業分析ボックスを製作し、フォークリフトの位置情報を取得したうえで、「それぞれのフォークリフトが稼働時間の何割を積み込み/積み下ろしに費やし、何割を空での走行に費やしているか」や「どのような走行経路をたどっているのか」などを可視化し、半自動化や既存のフォークリフトの効率化に役立てる。
同社の効果測定ボックスにはLiDARセンサー(赤外線センサー)を格納している。LiDARセンサーを用いてフォークリフトの位置情報を分析することで、各種のデータを取得することができる。
分析可能なデータは、「各フォークリフトの作業の内訳」、「走行している速度帯の内訳」、「ヒートマップ」、「フォークマン間での作業効率の差」となっている。
特徴としては、このソリューションにおいて、環境側に機器を設置する必要がなく、また安価な赤外線センサーを選定することで、コストの低さ、設置の手軽さを実現した。
また、見える化によるオペレーションの最適化が可能だ。分析を通して、発生してしまっているアイドルタイムや時間帯別に必要なフォークリフトの台数が明らかになる。結果としてフォークリフトの台数やフォークマンのシフトを最適化し、既存フォークリフトの運用を改善することができる。
さらに、可視化されたデータをもとに、「何台のAMRを導入すればどの程度の人件費削減効果を出すことが可能であるか」といった点を明確にし、今後の倉庫・工場の自動化方針を策定できる。
このソリューションは、効果測定に加えて、AMRとフォークリフトの協調制御にも役立てることができる。ソリューションを拡張して利用し、フォークリフトの位置をリアルタイムで確認することで、AMRとフォークリフトが接近した際の安全管理が可能になる。AMRが向かう先のエリアにフォークリフトが滞在しているかどうかを確認し、滞在している場合は当該エリアの侵入前にAMRを停止させるなどのオペレーションが一例。さらに、フォークリフトが荷物を積み下ろしした場所へAMRを自動的に向かわせるなどの両者の連携も実装できる。
これまで定量的な把握が難しかったフォークリフトの稼働状況を可視化することができ、環境側への設置工事が不要で、既存のフォークリフトへボックスを外付けするだけで導入できる手軽さを活かし、さまざまな現場での導入を進めていくとしている。
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