日本郵便は8月22日、不適切点呼の問題を受け調査した結果、配達等に使用するバイク(二輪)で、15万件超の不備が確認されたことを公表した。6月下旬に国土交通省から貨物運送許可を取り消されたトラックに加え、二輪でも点呼の不備や記録の改ざんがあった。
日本郵便では4月23日に四輪の点呼業務執行状況の調査結果、原因分析、再発防止策等について公表しており、二輪に関しても2025年1月下旬~3月上旬の調査を実施した。
全国3188営業所、約8万3000台を対象に、点呼の実施状況について調査したところ、点呼を行うべき約61万件のうち「不適切」が15万件超発覚。不備のあった営業所は全体の約6割に上る。
同日開いた会見で五味儀裕 執行役員は「四輪のみならず二輪でも多くの事業所で不適切点呼が常態化しており、本当に重大な事案だと思っている。これから事業を継続していくため再発防止策に全力で取り組み、点呼を確実に実施し、皆様の信頼を獲得していきたい」と述べた。
調査のなかで帳簿の記録に改ざんがあったことも明らかとなり、不適切点呼のうち98%が帳簿上、点呼を「したことになっている」ことも分かった。乗務前に行った点呼を、乗務後に省く事案が多く見受けられたという。
「点呼はプロとしては安全を担保する要だが、『飲んでないだろう』という思い込みが職場で常態化していた。社内規則で点呼の仕組みが機能していないことが原因。会社組織の根っこを正していかないと」と、課題感を示した。
貨物自動車運送事業法により事業者は、トラックや軽四の運転者への点呼の実施を義務付けられており、行政処分も規定されているが、二輪は対象外となっている。
日本郵便は調査結果を警察庁や総務省に報告。8万3000台の二輪は、再発防止を徹底することを前提に今後も使用する方針で「飲酒運転の撲滅に向けて、確実な点呼実施に努めていきたい」と、五味執行役員は繰り返し語った。今回の調査結果をもとに社内での処分についても検討していくという。
日本郵便/点呼不備問題で二輪への対応表明、調査結果は7月発表