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タイ洪水/現地法人189社、215工場で被害発生(東京商工リサーチ調べ)

2011年11月10日/調査・統計

東京商工リサーチは11月9日、タイ洪水被害状況調査結果を発表し、日系企業で被害が判明している上場企業139社では、タイの現地法人、合弁会社の189社、215工場が被害を発生している。

洪水で甚大な被害を受けた7工業団地に進出している未上場企業は少なくとも96社あるとしている。

215工場の主な被害状況は、浸水被害による操業停止が95工場(構成比44.1%)で、従業員の安全確保のための操業停止が41社(19.0%)、工業団地などからの退避命令による操業停止が28社(13.0%)となっている。

生産調整や部品供給停止による操業停止など間接被害による影響も発生し、部品調達に支障が生じたことで操業を停止したのが8工場、生産調整を行った工場が7工場だった。

自動車関連では、部品生産の停滞で世界各地の工場にも影響がでてきている。

トヨタ自動車、本田技研工業が、タイからの部品調達に支障が生じる可能性があるため、日本を含めた国内外の一部工場で稼働時間を制限。

クボタ、日野自動車でも、部品調達に支障が発生したため一部工場の操業を停止している。

被害状況を明らかにした上場企業139社が扱う製品分野は、電子機器関連が81社(構成比58.2%)、自動車関連が71社(51.0%)、住宅関連が20社(14.3%)、食品関連が19社(13.6%))。

上場企業139社の中で、甚大な被害を受けたタイの7工業団地(サハラタナナコン、ロジャナ、ハイテク、バンパイン、ファクトリーランド、ナワナコン、バンカディ)には、判明する範囲では149工場があった。

149工場のうち、ロジャナには57工場(構成比38.2%)、ナワナコンが36工場(24.1%)、ハイテクが25工場(16.7%)、サハラタナナコンとバンパインが各11工場、バンカディが9工場だった。

149工場の被災状況は、浸水による操業停止が82工場(構成比55.0%)、工業団地などからの退避命令による操業停止が25工場(16.7%)、洪水の被害はないが、従業員の安全確保から操業停止が20工場(13.4%)、その他(浸水被害はあるが、操業停止の有無が判明しないなど)が22工場だった。

退避命令や安全確保から操業を停止した45工場のうち22工場は、その後浸水被害を受けた。

安全確保のため操業を停止していた工場の中には、操業を再開した工場が3工場あった。

なお、被害額(見込み)などを発表している企業は、ニコンが売上高650億円減、営業利益250億円減の見通し。古河電気工業は、営業利益などへの影響額を50億円と見込んでいる。

サンデンは、事業活動に与える影響として現時点での想定で10億円程度を見込み、ミネベアは、売上高約174億円減、営業利益約53億円減を予想している。

対策として多くの企業は、タイ国内の協力工場(外注先)の他、国内外の生産拠点で代替生産の動きを見せつつある。大手企業は国内外に協力工場があり、代替生産は可能となっている。

しかし、海外に進出している中小企業は、資産背景が大手に比べ脆弱であるため、代替生産先の確保は難しく、操業停止・生産調整期間が長期化するほど、業績に与える影響は深刻となってくるとしている。

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