三菱重工業は10月28日、シンクロ(同期)制御機能を持つデッキクレーンを開発、第一弾として、新来島どっくが建造した長尺貨物輸送船向けに50トンデッキクレーン3基を受注・納入したと発表した。
搭載された3基のデッキクレーンをシンクロ制御することにより、長尺貨物の荷役を効率的かつ安全に行えるもので、世界最長の長尺貨物輸送プロジェクトで活躍する運び。
シンクロ制御機能は、本来独立した動きをする3基のデッキクレーンについて、一人の操作者が巻き上げ動作やジブ(腕)の上下動作を同一かつ一斉に制御できるもので、運転室以外にデッキ上からの遠隔操作も可能。
加えて、フックの制御基準位置を船体側と岸壁側でそれぞれ切り替えられる機能(特許出願中)を搭載。船体が傾斜したような場合でも、積み降ろし作業を円滑にできるようになっている。
安全対策では、標準仕様の安全装置に加え、クレーンの吊り荷重が設定値以上になった場合、過負荷のレベルに応じてブザーやランプが作動、クレーンが自動停止する機能や、3基のクレーンのフック位置のずれが大きくなると自動停止するシンクロフェイル機能、運転室とデッキ上のどちらかがシンクロの操作優先権を持つ機能などを装備し、使用時の安全性を高めた。
初納入のクレーン3基は、長さ約190mの輸送船が持つ全長約155mの船倉(ホールド)に沿って約50m間隔で配置。従来は分割輸送していた長尺貨物を150m一体で一度に積み降ろしできるようになった。
世界的に長尺貨物に対するニーズが高まるなか、これにより、安定的で効率的な貨物輸送の実現に貢献するとしている。
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