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2020年度の倒産状況/中小・零細の軽貨物運送業倒産は大幅減

2021年04月14日/調査・統計

東京商工リサーチは4月14日、「2020年度の倒産概況解説」「明暗が分かれた運輸業界の状況」を発表した。

それによると、2020年度の倒産(負債1000万円以上)は7163件で、30年ぶりに8000件を下回り、過去50年間で4番目の低水準だった。コロナ禍の当初は倒産の急増が懸念されたが、国や自治体、金融機関の支援もあり、大幅な減少となった。

インバウンドの消失などで宿泊業の倒産が増加する一方、飲食業は減少した。ただ、「新型コロナ」関連倒産は年明けから3か月連続で100件を超え、増勢の気配をみせている。コロナ禍の収束の見通しが立たないなかで、息切れ倒産が増加しそうだ、としている。

<軽貨物運送業の倒産・年度推移>
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そのような中、運輸業界では業種により経営環境で明暗が分かれた。

2020年度(2020年4月-2021年3月)の一般貸切旅客自動車運送業(貸切バス事業者)の倒産は15件で、前年度からほぼ倍増(前年度比87.5%増)し、過去20年間で最多を記録した。

一方、貨物軽自動車運送業(軽貨物運送業)の2020年度の倒産は18件(30.7%減)で、大幅に減少した。小・零細事業者が多く、人手不足に苦慮していたが、コロナ禍での資金繰り支援策に加え、在宅勤務の広がりやネット通販の利用増などが寄与した。  

新型コロナ関連倒産では、貸切バス事業者はインバウンド需要の消失だけでなく、国内でも旅行自粛で修学旅行や慰安旅行などが激減、11件と約7割(構成比73.3%)がコロナの影響を受けた。これに対し、軽貨物運送業は1件(同5.5%)にとどまり、影響の大きさも対照的だった。

貸切バス事業者は、「Go To トラベル」で業績回復を見込んだが、感染拡大の影響でキャンペーンの停止状態が続く。一方、軽貨物運送業はコロナ禍の宅配需要が業績を押し上げた。人手不足や燃料高騰など収益課題も多いが、今後も宅配など小口配送の需要の伸びが期待されている。

ただ、苦境が続く貸切バス事業者、活況にある軽貨物運送業いずれも過小資本の中小・零細企業が多い。コロナ収束が長引くほど支援効果も薄れ、息切れ倒産につながる可能性を残している。

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