LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





トーハン、大日本印刷/全面的提携、製造と物流の連携目指す

2021年07月12日/SCM・経営

トーハンと大日本印刷(DNP)は7月12日、生活者を起点とする出版流通改革に向けて、全面的な提携を行うことに合意し、具体的な取り組みを開始すると発表した。

<4つの改革のフロー図>
20210712tohandnp 520x321 - トーハン、大日本印刷/全面的提携、製造と物流の連携目指す

具体的な取り組みは4つの改革を図ること。まず、「製造・物流改革」では、 製造と物流の連携による適時・適量の配本体制の確立を目指す。「情報流通改革」では、読者の需要情報(注文・購買)や書店・出版社の在庫を共有する情報基盤の確立を図る。「商流改革」では、読者の需要に応じたマーケットイン型販売体制の確立。「販促改革 」では、書店の顧客向けのマーケティング力の強化、新たな読者獲得手法の提供を目指す。

取り組みの第一弾として、これまでDNPが丸善ジュンク堂書店と共同で整備してきた書籍流通センター(SRC)を、新たにトーハン桶川 SCMセンター内に設置し、トーハンの倉庫・物流機能との連携を強化して、「製造・物流改革」を推進いする。設置時期は2022年夏~秋を予定している。

DNPは2015年度に、グループの丸善ジュンク堂書店と連携し、書店や出版社等での在庫と連動したフレキシブルな物流拠点として、タイムリーに書籍を届ける書籍流通センター(SRC)を整備した。製造から物流・販売までのリードタイムを短縮し、「欲しい時に欲しい本を手に入れたい」という読者の需要に柔軟に対応してきた。

今回の両社の連携により、マーケットの需要に応じた配本を強化し、出版流通市場全体で書店の欠品をなくして、販売機会の増大を実現していく。すでに、出版社ではオーム社・偕成社・河出書房新社・新星出版社・ポプラ社・有斐閣等、書店では三省堂書店から、この取り組みに対する参画の意思表明を得ているという。

また、1冊から製造可能なDNPの書籍製造一貫工場(白岡工場)との連携強化や、出版社倉庫との連携拡大により、「情報流通改革」としての適時・適量の配本を実現する。

これらの取り組みを土台とし、「商流改革」の一環として、読者ニーズを起点とした共同仕入の取り組みを進めるとともに、「販促改革」として書店での販売力の向上を図っていく。

まず、トーハン及びDNPのグループ書店でテストを実施し、その後、両社グループ以外の書店の参入を促進し、全国規模での出版流通改革の実現を目指すとしている。

なお、日本の出版流通に関わる出版社・取次・書店等のステークホルダーは、従前から流通の継続・維持と収益改善に努め、一部に返品率削減などの改善効果も表れ始めている。一方、市場全体の売上減少傾向は続いており、さらにネット通販の拡大等による物流ネットワークの逼迫と相まって、出版流通全体の変革が求められている。

こうした状況に対して、トーハンとDNPの両社は、あらためて生活者を起点とした全体最適の視点に立ち、出版流通の基盤を再整備する必要があると捉えている。この再整備に最優先で取り組むことにより、物流の合理化や出版社の返品在庫の廃棄極小化を図り、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にもつなげていくとしている。

関連記事

SCM・経営に関する最新ニュース

最新ニュース