大日本印刷(DNP)とBIPROGYは4月1日から、量子技術とAIを活用した物流業務効率化アプリケーション開発に向け、本格的な研究を始める。
DNPとBIPROGYは、量子アニーリングと古典AI技術を組み合わせた「量子・古典ハイブリッド技術」で、アプリケーションを開発する。
物流・交通分野における配送計画をBIPROGYが担当、倉庫内のピッキング計画をDNPが担当し、「最適化」などの課題解決を目指す。
特に配送計画は、道路状況や運転手・荷物の事情などで頻繁に変更が発生し、緊急対応のため高速処理が求められ、BIPROGYは、WMSなど周辺物流システムとの連携に向けた機能拡張を進めていく。
DNPは初期仮説検証フェーズで、DNPの工場でのピッキング作業データを利用し、デジタル上のシミュレーションや模擬環境を通じて効果を検証した。
従来は作業開始前に立案した計画に基づき作業していたが、作業状況に応じてリアルタイムに高速で計画を立案するアプリケーションの開発に成功。実証シミュレーションの結果、全体の総移動距離が約29%削減、他人とのすれ違い回数が約44%削減でき、総作業時間は約6.4%短縮された。
この研究成果を活用し、次の本格研究では、AMRなどロボットと作業者が協働するピッキング作業を最適化するアプリケーションを開発する。
AMRの稼働の制御や作業順番等の管理の機能、作業効率の改善度合いを事前に検証できるバーチャルシミュレーション機能の開発を想定しているという。
今後、DNPとBIPROGYは、開発したアプリケーションの本格的なサービス展開を目指す。人口減少による物流・倉庫業界の輸送力不足や、CO2排出量削減など社会課題の解決につなげる考え。
DNP/DXでシームレスな「未来の出版流通プラットフォーム」構築へ