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CBRE/4大都市圏の物流施設、2年間は高水準の新規供給

2021年12月15日/調査・統計

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CBREは12月15日、スペシャルレポート「不動産マーケットアウトルック 2022」を発表した。

<MarketOutlook2022>
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このレポートは「マクロ経済」「オフィス」「リテール」「ロジスティクス」「投資」についてレポートしたもの。

<4大都市圏のストックと全体空室率>
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ロジスティクスの部門では、首都圏、近畿圏、中部圏のいずれにおいても、むこう2年間、高水準の新規供給が続く。特に首都圏では、2年連続で新規供給が過去最大を更新。首都圏全体では需給バランスは大きく崩れなくとも、物件のクオリティ次第でリーシングの進捗には格差が生じるとみられる。福岡ではストック面積が向こう2年間で56%増加するものの、旺盛な需要により賃料は2年間で7%の上昇を予想としている。

<首都圏前年ストックに対する新規供給率>
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<首都圏空室率>
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首都圏では、2022年の新規供給は過去最高の72万坪となる見込み。ただし、2022年の供給率(前年ストックに対する新規供給面積)は15%とほぼ過去平均並みであり(2015-2020年の平均供給率は16%)、2022年Q4時点の空室率は2.9%の低い水準にとどまると予想する。

しかし、2023年の新規供給は90万坪と、2022年の供給量を26%上回る予定。新規需要も過去最高の更新を見込むものの、単年では供給を下回り、空室率は2023年Q4時点で4.3%に上昇すると予想する。とはいえ、そこまで上昇したとしても、賃料が上昇基調にあった2018年(Q4時点で4.8%)を下回る水準である。需給バランスは引き続き健全と言えるとしている。

<近畿圏前年ストックに対する新規供給率>
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<近畿圏空室率・実質賃料指数>
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近畿圏では、低い空室率を反映して、実質賃料は上昇基調を維持する見通しである。2022年、2023年はそれぞれ2%超の上昇率、2023年Q4に4,310円/坪を予想する。特にランプウェイを完備した物件は、竣工前の早い段階でテナントを獲得できる確率が高いことから、賃料上昇を牽引するとしている。

中部圏では、今後の新規供給は、物流施設の集積がまだ少ない湾岸地域にも多く竣工するため、テナント獲得競争が激しくなるとみられる。そのため実質賃料は、2022年はほぼ横ばいを維持するものの、向こう2年間では-0.3%と、わずかながら下落を予想する。ただし、2023年後半には賃料水準が高い名古屋市内や小牧市で大型の物件が竣工する。これらの物件のリーシングが順調に進めば、全体の賃料が上振れる可能性があるとしている。

福岡圏では、まとまった量の新規供給により、空室率は2022年Q4に4.2%、2023年Q4に8.7%へ段階的に上昇すると予測する。とはいえ、その時点でもまだ経済規模に照らしてストックが十分とは言えず、過剰感はない。また、大型需要が旺盛なことから、実質賃料は向こう1年で+3.7%、向こう2年間では+7.1%と、4大都市圏の中でもっとも高い上昇を予測している。

なお、マクロ経済では、新規感染者数は11月末時点で1日当たり100人前後に抑えられている。ワクチン接種が進展し、経口薬の年内承認の可能性も高く、COVID-19パンデミックは収束にむけて漸進している。Q4以降は消費ならびに生産の本格回復が期待され、経済規模は2022年Q3にはコロナ禍前のピーク水準を回復するとみられる。ただし、資源価格の上昇と円安の進展が企業収益を圧迫するリスク要因として懸念される。また、11月末に確認された新型コロナの変異ウイルス「オミクロン型」も、景気回復に対する新たなリスク要因として浮上としている。

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