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フェデックス/ECは5年で47%成長、白書でメガトレンドを予測

2022年01月11日/調査・統計

フェデックス エクスプレス(フェデックス)は1月11日、世界の越境ECにおけるトレンドの最も大きな動きを考察する「注目すべきECのメガトレンド(E-commerce Megatrends to Watch)」白書を発表した。

この白書では、世界最大のEC市場である中国で起きている最も重要なデジタルでの7つのメガトレンドと、それらがどのようにアジア太平洋地域やその他の地域において、ECのトレンドの進展に深い影響を及ぼすことになるのかという点に焦点を当てている。

ECは世界的に見て、今後5年間で平均47%成長することが見込まれている。アジア市場が51%で成長の先頭に立ち、ヨーロッパ(42%)と北米(35%)が続く。中東とアフリカでは、両地域を合わせたEC市場価値が2025年までに730億ドルに達すると予測されている。それでも、中国での成長はアジアの他の地域を凌駕しており、2020年に1兆3000億ドルに達したECの売上高は、2025年までに2兆ドル近くまで増えると見込まれている。こうした明るい見通しは、物流企業が成長する多大な好機も生み出している。世界のEC物流市場は、2021-2028年の間に前年比で最大約6.6%増となり、2028年までに1188億4700万ドルに達すると予測されている。

この白書から浮かび上がったポイントは、まず「カスタマーエクスペリエンスの再定義」だ。同白書では、「スマートシティ&ホーム」や「コネクテッドコンシューマー」、「実験的マーケティング」、「ショッピングエクスペリエンス再構築」が相交わったトレンドによって、購買活動がもはや閉ざされたサイロ状態ではなくなることが明らかになっている。

オンラインとオフラインの境界線はさらにあいまいになる。充実したデジタルのインフラ・技術ソリューションが先進段階にある中国や北米、ヨーロッパのような市場において生活者が求めているのは、クラウドシェルフや、オフラインストアでの拡張現実(AR)ミラー、バーチャルリアリティーのホテルツアー、またモバイルでの購入体験のライブ配信のような、充実した技術サービスによる小売り体験の向上だ。5G通信が急速に現実化する現在、企業は高度にデジタル化・パーソナル化されたサービスを提供する近距離無線通信や人工知能、ボットといった新技術の力を活用し、小売業にとどまらない、より充実したつながりのあるカスタマーエクスペリエンスを実現することができる。

これらの進化するトレンドに合わせて、物流業界も顧客に高度な分析を提供するよう取り組んでいる。たとえば、FedEx Surround(フェデックスサラウンド)の技術は、荷物に加えてそれらが行き来する世界に関する関連データを収集・統合することで、企業の可視化を向上させ、予測できる助言や、事前の対応を可能にする。

もう一つのトレンドは、「市場フロンティアの変化」に関すること。地球の一部地域が、過剰耕作や人口過多となる、またはそれらの最大潜在能力に達する中、第2都市と農村地域は、ブランドが活路を求める地域として台頭している。通常の小売業者や家族経営店舗は、今やB2BのECプラットフォームで顧客とつながり、国内外の双方で商品をオンライン販売している。第2都市での中流階級の台頭とともに先進のデジタル・輸送インフラの恩恵を受けた中国、アジア太平洋地域と中東は、デジタルコマースによって旧来型の小売業や家族経営の店舗が再生してきている。こうした未開拓分野での競争は、今後の数年で激化すると思われる。

国境を越えた物流、より広範なネットワーク範囲、また接続のしやすさは、EC事業者が占有率を拡大する上での下支えとなる。そして最初に動いて、顧客に深く根差した広範なリーチを構築した会社が勝者となる。

他の2つのメガトレンドは、「シェアリングエコノミー」と「時間の購入」だ。都市化が進み、デジタルインフラが進化し、生活者の「所有」に対する考え方の変化により、2025年までに世界で3350億ドルの規模になると言われるシェアードエコノミーの成長に拍車がかかっている。

現在、北米とヨーロッパがその先頭に立っているが、中国では人口の半数超がこれに加わると見込まれている。利便性は、ブランドが生活者のニーズを満たすために分野を超えて協力し、イノベーションを図るように促す基本要因となっている。カーシェアリングやアパート賃貸からグループ購入まで、シェアードサービスの需要は画期的なイノベーションを促進している。

なかでもECは、生活者にとって重要な時間の節減であり、ワンクリックでの満足感をもたらしている。可処分所得が増えるにつれ、生活の中でオンデマンドサービスを求める需要も急増すると予想されている。世界全体では、生活者の48%が時間を節約するためにお金を使うことを厭わない。北米と欧州の企業は、このオンデマンド サービス エコノミーの未来を再定義する最前線に立っており、多くの企業が宅配により増収となる多大な可能性を見出している。

コストパフォーマンスと競争力のあるスピードを提供する越境EC向け輸送ソリューション、FedEx International Connect Plus (フェデックスインターナショナルコネクトプラス)や、FedExDelivery Manager International (フェデックスデリバリーマネジャーインターナショナル)は、EC事業者がそれぞれの顧客にパーソナル化したサービスと配送設定を管理・統制する自由を提供できるもの。

フェデックス エクスプレスのサリル・チャリ アジア太平洋、中東、アフリカ(AMEA)地域のマーケティングおよびカスタマーエクスペリエンス担当上級副社長は、「我々は、最新テクノロジーが人間の行動を形作り、EC変革における次の波を呼び込むエキサイティングな時代に生きている。接続性、オンデマンドサービス、シェアードエコノミーの強化により、たとえ最も小規模な企業であっても、世界の舞台で競う新たな可能性が開かれるECの新時代がすでに来ている。勝つためには、企業として生活者と関わる方法と場所について考え直し、再創出し続けなければならない。この白書は、そうした機会がどこにあるのかを指し示しているという点で重要」と述べている。

■白書(英文のみ)
https://www.fedex.com/ja-jp/shipping/industry-solutions/ecommerce/whitepaper.html

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