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BCPへのリスク/サイバー攻撃や物流網の混乱が急増

2022年06月14日/調査・統計

帝国データバンクは6月14日、事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2022年)を発表した。

それによると、企業がBCPを策定している割合を規模別でみると、2022年は「大企業」が33.7%(同 1.7 ポイント増)、「中小企業」が 14.7%(同横ばい)となった。

<事業の継続が困難になると想定しているリスク(複数回答)>
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BCPを「策定意向あり」(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)とする企業に対して、どのようなリスクによって事業の継続が困難になると想定しているか尋ねたところ、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が 71.0%となり、2017年から6年連続で最も高くなった(複数回答)。

前年との比較では、新型コロナウイルスなど「感染症」(53.5%、前年比 6.9 ポイント減)が低下した一方、「情報セキュリティ上のリスク」(39.6%、6.7 ポイント増)、「物流の混乱」(30.4%、5.0 ポイント増)、「戦争やテロ」(19.0%、同 6.0 ポイント増)が大幅に上昇した。

特に「情報セキュリティ上のリスク」は『金融』(68.6%)や『サービス』(54.4%)で、「物流の混乱」は『卸売』(40.3%)、『運輸・倉庫』(40.1%)などで高い傾向がみられる。

リスクに関する企業の声では、「特にサイバー攻撃に関しては、対策を考えていきたい」(専門サービス、東京都)、「備蓄在庫を持とうにも資材高騰、資材不足で非常に難しい」(木造建築工事、長野県)、「策定した当初は自然災害を想定していたが、近時は半導体不足や木材の値上がり、物流の混乱などリスクがどんどん増えている」(時計・同部分品製造、富山県)が挙がった。

<事業中断リスクに備えた実施・検討内容(複数回答)>
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事業が中断するリスクに備えて実施あるいは検討している内容を尋ねたところ、「従業員の安否確認手段の整備」が 66.6%で最も高く、同様の設問を尋ねている2017年から6年連続でトップとなった(複数回答、以下同)。

想定するリスクとして「情報セキュリティ上のリスク」が前年から上昇したのと同様に、リスクへの備えも「情報システムのバックアップ」(58.7%、3.3 ポイント増)が上昇した。また、「調達先・仕入先の分散」(38.1%、3.0 ポイント増)、「予備在庫の確保」(15.1%、1.6 ポイント増)など、サプライチェーンの安定に資する取り組みも前年から上昇している。

<事業継続計画(BCP)を策定したことによる効果(複数回答)>
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BCPを「策定している」企業に対して、策定による効果を尋ねたところ、「従業員のリスクに対する意識が向上した」が 53.7%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」(31.8%)、「事業の優先順位が明確になった」(30.9%)が3割台で続いた。この2項目は昨年から順位が入れ替わっている。

<BCPを策定していない理由(複数回答)>
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なお、BCPについて「策定していない」企業にその理由を尋ねたところ、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が 42.7%で最も高かった(複数回答)。同様の設問を尋ねている 2017年調査から6年連続でトップだった。次いで、「策定する人材を確保できない」(31.1%)や「書類作りで終わってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」(26.1%)といった項目が続いた。

策定していない企業の回答では、「策定にかかる合理的な時間、費用(人件費)の想定や確保が困難である」(酒類卸売、北海道)や「現実的にリスクをどこまで考えればよいかわからない」(自動車(新車)小売、青森県)など、BCPの策定に難しさを感じている声が多かった。

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