日本郵船とIHI原動機は7月12日、研究開発中のアンモニア燃料タグボート(A-Tug)について、同11日に日本海事協会から基本設計承認を取得したと発表した。
アンモニアを燃料とするタグボートが日本海事協会から基本設計承認を取得するのは今回が初。
アンモニアを燃料とするタグボートの開発にあたっては、「難燃性かつエネルギー密度の低いアンモニアの使用比率を高めながら、エンジンにて安定的に燃焼させ運用する必要があること」「アンモニアを燃焼させるとCO2を発生しない代わりに亜酸化窒素(N2O:CO2の約300倍の温室効果)が発生する可能性があるため、発生を抑制する燃焼制御及び船外に排出させない処理が必要となること」「毒性があるアンモニアを漏洩しない設計、万が一漏洩した場合には安全対策を取る必要があり、従来の船舶と同等水準の安全性を確保するため、リスクアセスメントを通した対策が求められること」といった課題が挙げられる。
今回、両社はアンモニア燃料エンジンの開発と機器選定、また設計上の機器配置の工夫によって、限られた船内スペースにアンモニア燃料関連機器を安全かつ実用的に搭載することで、従来の船体の大きさを変えることなく、これらの課題点を克服したA-Tugの設計を達成するとともに、日本海事協会から基本設計承認を取得することができた。
今後は、建造に向けたさらなる検討を通じて、2024年度に横浜港での実証運航を目指す。
日本郵船ほか/常温昇圧(EP)方式のCO2液化・貯蔵プロセス実証実験