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日野自動車生産停止/サプライヤーへの影響年間最大1兆円と試算

2022年09月05日/調査・統計

帝国データバンクは9月5日、「日野自動車エンジン不正問題」のサプライヤーへの影響について緊急調査結果を発表した。

<日野自動車グループに関連する取引金額>
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日野自動車は排出ガスや燃費の性能などを偽っていた問題で、8月22日新たに主力の小型トラックでも不正が見つかり、同社の国内生産のうち約6割を停止すると発表。自動車産業は裾野が広く、今後減産による影響は部品メーカーや周辺産業に波及していくとみられる。

帝国データバンクが実施した調査結果では、取引額が判明した約5000社で年間最大約9796億円、月平均で816億円の取引が、同グループの商流圏内で発生していることが判明。また、日野自動車の生産が全面的にストップした場合、取引企業や周辺産業全体で年間最大約1兆円の取引が消失するとなどの影響が出る可能性があるとした。

<日野自動車グループとの依存度>
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企業の売上高のうち日野自グループへの依存度をみると、同グループとの取引額が売上高全体の5%に満たない企業の割合が全体の約8割を占めた一方、10%を超える企業の割合も全体の約1割を占めた。

<都道府県別取引額の影響>
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地域別にみた取引額の影響では、東京都が最も多く2505億円、このうち東京23区外の「多摩地区」が684億円を占めた。これは日野自動車のマザープラントとなる日野工場(東京・日野市)を中心に部品などを供給するサプライヤーが多いためとみられる。

日野自動車は、2022年4-6月期において仕入先に対する補償など20億円の特別損失を計上。公的金融機関などでも資金繰り支援を受け付ける相談窓口を設置するなど、生産停止の影響を受ける中小企業・小規模事業者向けのフォローが続いている。帝国データバンクでは「月平均で最大800億円、年間で1兆円に及ぶ取引規模の維持は中長期に及ぶほど難しく、経営を支えきれなくなったサプライヤーの市場退出などが今後発生する可能性がある」と分析している。

なお、同調査は、帝国データバンクが保有する「商流圏~売上高依存度推計データ」をもとに、日野自動車および同社グループの計6社に対し、部品などのモノ・サービスを提供する周辺産業(商流圏)での取引規模を、2021年時点の売上高を基準に推計したもの。

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