ブリヂストンは10月13日、同社ソフトロボティクス事業準備室が開発を進めてきた、ラバーアクチュエーター(ゴム人工筋肉)を使ったソフトロボットハンドを、11月からレンタル受付開始すると発表した。
<ソフトロボットハンドによるピッキング作業のイメージ>
ソフトロボティクス事業は、人と協働することができる柔らかいロボットを活用し「安心・安全なヒト・モノの移動と動き」を支える、同社グループの新規事業。同事業準備室は昨年7月に開設した。
ブリヂストンのタイヤやホースの開発・生産のノウハウを活用したラバーアクチュエーターは、軟性、耐衝撃性、軽量・高出力などさまざまな特徴を持つ。同事業準備室では、今年7月からこのラバーアクチュエーターを搭載したソフトロボットハンドを用いて、同社グループの物流現場でピースピッキングの自動化に向けた実証実験に取り組んできた。
一般的なロボットハンドでは、1種類でチューブやボトル、パウチなど様々な形・硬さ・重さのモノをつかむ事は難しく、ピースピッキングの自動化は難しい課題だったが、ラバーアクチュエーターを搭載した「柔らかい」ロボットハンドでは、ゴムの力を活かし、1種類のロボットハンドで多種多様なモノを”いい感じ”につかむことができるという。
<動画① AI画像認識と組み合わせたトータルピッキング>
<動画② 棚からのピースピッキング>
<動画③ ブリヂストンスポーツ社 倉庫現場でのピースピッキング実証実験>
今年9月には、このソフトロボットハンドを「国際物流総合展2022」に出展、約3000人がブースを訪れ、注目を集めた。「大きな反響をいただき、今回のレンタル販売開始へとつながった。ソフトロボティクスはまだまだ黎明期だが、ブリヂストンが参入していくことで、これから業界全体を盛り上げていきたい」と、同事業準備室の山口真広主幹は意気込む。
レンタル対象製品は、ソフトロボットハンド最新コマーシャルモデル(動画①②のモデル)。同製品は主に日用品向けとなっており、重さ約2kg、大きさは約16㎝ぐらいのもの、「手の大きなバスケットボール選手や外国人が、片手で持てるくらいのサイズ感」(山口主幹)に対応できるという。なお、台数には限りがあり、レンタル価格は、指の太さや長さにより異なる。レンタル期間は1か月~1年(要望に応じて期間調整や更新も可能)、AI画像認識技術とのパッケージ提供も可能となっている。
ブリヂストン ソフトロボティクス事業準備室では、現在「対話型」など異なるタイプのソフトロボットハンドの実証を進めており、さらに今後マテハンメーカーとコラボしたピッキングシステムの開発など、さまざまなパートナーとの共創を目指す。
■ブリヂストン ソフトロボティクス事業
https://www.bridgestone.co.jp/products/softrobotics/
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