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日本郵船/ゼロエミッション船へアンモニアReady LNG燃料船設計

2022年11月28日/IT・機器

日本郵船、NYKグループのMTIおよびフィンランドの船舶技術コンサルタント会社Elomatic Oy(エロマティック)の3社は11月28日、アンモニア燃料船に効率的に改造・転換することが可能なLNG(液化天然ガス)燃料船の建造を目指すプロジェクトで、新たにケープサイズバルカーと大型原油タンカー(VLCC)のコンセプト設計を行い、コンセプト設計のフェーズを完了したと発表した。

3社はアンモニアReady LNG燃料船を将来のゼロエミッション船実現への「ネクストブリッジソリューション」と位置付けており、今後は造船所や船舶用機器メーカーと実際の設計を進める。

コンセプト設計とは船を建造する際の土台となる設計。船の全長や船幅などの寸法、積荷量、航続距離、船速といった仕様を考慮し、最適な設計を行う。

日本郵船では、NYKグループの外航海運事業での温室効果ガス(GHG)排出量削減の長期目標を「2050年までのネット・ゼロエミッション達成」と定め、将来的にアンモニアや水素など、より環境負荷の低い船舶用燃料を使用するゼロエミッション船の投入を目指している。まずは低炭素燃料であるLNG燃料をゼロエミッション船が実現するまでのブリッジソリューションの一つと位置付け、LNG燃料船の船隊整備を進めている。

更に日本郵船、MTI、エロマティックの3社は「ネクストブリッジソリューション」としてアンモニアReady LNG燃料船の建造を目指すプロジェクトを2021年9月に開始した。従来は造船会社がコンセプト設計を行う形が一般的だったが、このプロジェクトでは将来的なゼロエミッション船開発を目指し、日本郵船とMTI、そして船舶技術コンサルタント会社であるエロマティックが共同で設計を行う。本年3月にはプロジェクトのフェーズ1として、自動車専用船とポストパナマックスバルカーのコンセプト設計を完了している。

今回、3社はフェーズ1.5としてケープサイズバルカーと大型原油タンカー(VLCC)のコンセプト設計を行った。

<アンモニアReady LNG燃料ケープサイズバルカーのイメージ画像>
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<アンモニアReady LNG燃料VLCCの紹介映像>

アンモニアReady LNG燃料船の設計開発の課題として、「1.アンモニアはLNGに比べて熱量あたりの燃料の体積が大きいため、同じ航続距離を走る船を建造するには、より容量の大きな燃料タンクや追加の燃料タンクが必要になる」、「2.1により貨物の積載スペースが縮小し、積載できる重量が減少する」、「3.タンクの大型化や追加タンクの設置により、船舶が転覆しないかを示す復元性や船体強度が影響を受ける」、「4.アンモニアは毒性が高いため、アンモニア燃料タンクは国際条約や国内法に則った排気設計とする必要がある。またアンモニア燃料の補給の際には漏洩しない設計とする必要がある」、「5.LNG燃料からアンモニア燃料への改造に追加の工期やコストが発生する」がある。

今回のコンセプト設計ではこれらの課題を解決する案を模索し、燃料タンクの配置などの仕様を研究・検討した。その結果、実行可能で機能的、かつ安全な特徴を備えたコンセプト設計を完了した。

今回コンセプト設計を行ったアンモニアReady LNG燃料船では、従来のLNG燃料船と比べ、新造してからアンモニア燃料船に改造するまでの全体の費用をケープサイズバルカーでは12%、VLCCでは25%抑えることができると見込まれる。

今後3社はプロジェクトのフェーズ2として、コンセプト設計をもとに造船所や船舶用機器メーカーと実際のアンモニアReady LNG燃料船の設計を進める。

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