日本郵船は10月18日、MTI、ナブテスコの3社で開発を進めてきた電子聴音棒「Kirari MUSE」(キラリミューズ)が完成し、10月18日からナブテスコが販売を開始すると発表した。
この電子聴音棒の導入により、機器が発する音そのものをデータとして蓄積し、船上で機器の異常検知やメンテナンスに役立てることができる。
聴音棒は機器の状態検査の為に使用される細長い金属棒で、船や工場で広く使用されている。タービンやモーターなどの検査対象箇所に聴音棒をあてることで、周囲の騒音に影響されず対象物の音を捉えることができ、機器内部の目に見えない異常を音で検知することができる。一方で、音による異常検知はデータとしての蓄積が難しく、第三者と共有できないという課題があった。
「Kirari MUSE」は聴音棒本体、専用スマートフォン(操作デバイス)、PCアプリがセットになっている。聴音棒本体に録音機能を有し、付属のPC解析アプリを組み合わせて音をデータとして記録、分析、共有することが可能。船員が巡回時に電子聴音棒で録音した音をアプリで記録・解析し、結果をグラフとして表示する。設定した基準データから乖離した音データが検出された場合には、アプリ上でアラームを発出させることもできる。専用スマートフォンは計測対象機器の選択や計測時メモの記載、PCアプリへの転送などの操作に使用する。
音をデータとして蓄積する事で、船員個人の知見に影響されることなく基準データや過去の録音データと比較することができ、早期の異常検知に繋がる。また蓄積された音のビッグデータは運航会社や船舶管理会社、船級、機器メーカーと共有することも可能であり、陸側からも異常検知や修理の支援を行うことができる。
Kirari MUSEは外部ソフトウェアへの接続を必要とせず、舶用機器以外にも使用可能。ユーザーの使用用途にあわせてアプリ上で簡単に対象機器や閾(しきい)値を設定する事ができ、すぐに音の解析を行うことができる。
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