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豊田自動織機/エンジンに法規違反、国内向けフォーク出荷停止

2023年03月17日/IT・機器

豊田自動織機は、同社が製造した国内市場向けフォークリフト用エンジンについて、経年劣化による排出ガス国内規制値の超過と、排出ガス国内認証に関する法規違反の可能性を確認。3月17日付でディーゼルエンジン2機種とガソリンエンジン1機種の計3機種を搭載するフォークリフトの出荷停止を決定し、国土交通省、環境省、経済産業省に報告したと同日発表した。出荷停止フォークリフトは月産1400台規模におよぶ。

法規違反の可能性があるエンジンは、ディーゼルエンジン「1ZS型」「1KD型」と、ガソリンエンジン「4Y型」。同社では、2月末までに対象エンジンを搭載したフォークリフトをディーゼルエンジン2機種で7万1300台、ガソリンエンジンで8万8300台販売している。

今後の対応として、出荷停止するフォークリフトについては、関係省庁の指導を受けながら出荷を再開できるよう努めていくとともに、使用中の機台への円滑なメンテナンスサービスや物流現場の状況に応じた提案等を通じて、稼働への影響を最小限に留めるよう注力していく。

また、ディーゼルエンジン式フォークリフトの既販車については、経年劣化により排出ガス規制値を超過するため、今後リコール等の措置が確定次第、速やかに対応を進めていくとしている。

なお、ディーゼルエンジン「1KD型」は、フォークリフト用とは別に国内認証を取得し、建設機械用として外販しているため、これについても法規に定められた手順・方法に従っていなかったことから出荷を停止する。

同社による不適切行為の内容は、ディーゼルエンジンで、劣化耐久試験の結果を踏まえて燃料噴射装置を改良したが、改良後に同試験をやり直さず、推定値を試験結果とした。また、排出ガス試験の一部で規定のエンジン運転条件の成立が困難であったことから、本来設備側で設定を行うところ、エンジン側の制御ソフトの一部を変更して試験を行った。

ガソリンエンジンでは、部品の製造ばらつきの影響を調べるために実施した劣化耐久試験の途中で行う排出ガス試験のうち1回を、エンジン部品を交換して実施した。また、劣化耐久試験で一部の試験結果が異常値と考え、同性能の別エンジンの排出ガス測定結果と差替えた。

豊田自動織機によると、法規違反の可能性が確認されたのは、今年3月に入ってから。

同社では、2020年後半に北米向けガソリンエンジンの2021年用年次認証申請に際し、米国環境当局からのデータ確認や問い合わせへの対応を行なっていたが、米国環境当局への対応の中で申請済のデータに懸念を抱いたことから、外部弁護士による調査を2021年5月に開始。

2022年1月には、外部弁護士による調査範囲を国内のガソリンエンジン認証まで拡大し、ディーゼルエンジンについても2022年4月から検証・調査を開始した結果、2023年3月に排出ガス国内認証に関して問題を確認し、対象エンジン搭載フォークリフトの出荷停止を決定したという。

今後、同社では再発防止に向けて、これまでに行った外部弁護士による調査に加えて、独立した外部有識者による特別調査委員会を設置し、内容の解明と真因分析、これに基づく再発防止策を取りまとめる方針。

また、同問題を受けて、会長や社長等が役員報酬を辞退。内容は、豊田 鐵郎会長と大西 朗社長が月額報酬の100%×6か月分、水野 陽二郎副社長(トヨタL&Fカンパニープレジデント)と松本 洋経営役員(エンジン事業部長)が額報酬の30%×6か月分としている。

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