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セイノーHDほか/大分県宇佐市で道の駅を活用したドローン配送

2024年02月21日/IT・機器

大分県と、宇佐市、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、セイノーホールディングス、KDDIスマートドローン、電通九州は2月2日、宇佐市において地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた「道の駅を活用したドローン配送」の実証実験を九州初となるレベル3.5飛行下で実施したと発表した。

<写真向かって左よりセイノーHD 事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課の和田悟課長、大分県 商工観光労働部 高野信一理事、宇佐市の是永修治市長、エアロネクスト/NEXT DELIVERY 田路 圭輔CEO、電通九州 地域価値共創局局 大庭郁夫次長>
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<救援物資の入った箱を切離して飛び去る物流専用ドローン”AirTruck”(余温泉)>
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<ドローン配送された支援物資を確認する住民(余温泉)>
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具体的には、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流”SkyHub“の社会実装の検討に向けて行われた。

レベル3.5とは、デジタル技術の活用(機上のカメラによる歩行者等の有無の確認)により、補助者や看板の配置といった現在の立入管理措置を撤廃するとともに、無人航空機の操縦ライセンスの保有および保険への加入により道路や鉄道等の横断を伴う飛行を容易とするもの。ドローンの運用コスト削減と業務の効率化につながり、ドローン配送の事業化に向けて大きな動きとなる。

昨年12月に日本初でNEXT DELIVERYが飛行承認を取得し、12月11日に北海道上士幌町で日本初のレベル3.5でのドローン配送を実施した。今回、宇佐市において、九州初となるレベル3.5でのドローン配送を実施したもの。

今回の実証実験では、買い物に関する課題と災害時の物資輸送を想定して実施した。機体はエアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruckを使用し、機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用した。

2月2日の公開では、東院内地区公民館から両川地区公民館までの片道約7㎞・約15分を、食料品を搭載してドローン配送し、また、東院内地区公民館から余温泉までの片道約6㎞をレベル3.5飛行により約14分で救援物資をドローン配送した。

実証実験による効果として、「レベル3.5飛行により、省人化(補助員5名が不要)効率化(看板設置、撤去の作業が不要)が実現した」、「飛行ルート上の電波状況については途切れることなく、機体カメラによる歩行者等の視認も問題なかったことから、実装を見据えた運航が可能であることが確認できた」、「有事の際に活用できる飛行ルートを開通できた」としている。

<ドローン配送で余温泉まで届けられた救援物資>
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なお、宇佐市は総人口5万2724人(2024年1月1日現在)。大分県の北部に位置し、市南部の緑豊かな森林地域を源にした多くの支流から集められた水が広大で肥沃な宇佐平野を潤したのち、豊前海に注がれ、好漁場を形成している。宇佐市郊外の中山間部に位置する院内エリアでは、市街地から陸路によるアクセスが可能であるが、近隣には商業施設(スーパーチェーン含む)が1~2店舗点在するのみ。また自家用車を所有する住民の多くは、宇佐市街地まで車で買い物に行くことが日常的となっている。

今後は、高齢化に伴う買い物難民や物流業界の2024年問題をはじめ、ドライバー不足による物資輸送の問題のほか、有事の際に孤立集落の発生が懸念されるなど、多くの課題を抱えている。

さらに、宇佐エリアでは、新たな「道の駅」の建設に向け、DX技術導入による市民生活の利便性向上や緊急時対応も含めたドローン活用を模索中だ。

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