住友商事は2月28日、香港のOrient Overseas Container(OOCL)と、「電場技術」を活用して長期間の鮮度維持を可能にした冷蔵海上輸送について、業務提携契約を締結したと発表した。
電場技術とは、高電圧を印加し、微弱な電場を食品に与えることで、氷点下での食品の非凍結温度を低減させる技術。
住友商事は、出資先のMARS Companyが同技術を用いて実施した電場コンテナの開発を機に、電場関連機器の開発を行う第一施設工業とOOCLの協力を得て、電場コンテナ調達の仕組みを確立。また、電場環境で真空度の高いシュリンク梱包を食品に施すことで、食品の非凍結温度を下げ、鮮度保持効果を上げる「食品輸送方法」に関する特許なども取得している。
業務提携先のOOCLは、世界最大規模の国際コンテナ輸送と総合型物流を手がけており、100以上の主要都市に130の拠点を持ち、グローバルな顧客基盤を有している企業。両社は、同サービスを基に冷蔵海上輸送の展開を図り、鮮度保持物流の新しいスタンダードの確立を目指す。
生鮮商品の輸送では、冷凍保存して海上輸送するか、冷蔵保存で海上または航空輸送を活用しているが、冷凍保存の場合は解凍時の細胞破壊による品質低下、冷蔵保存による海上輸送では航海日数の制約、航空輸送の場合はコストが課題となっており、食料供給地を拡大して食品の安定供給を確保するためにも、品質低下が無い冷蔵保存で、長期間の海上輸送が可能となるサービスの開発が望まれていた。
同サービスが普及することで、従来では不可能だった遠方からの冷蔵品の海上輸送を実現し、世界に点在する魅力ある食品を新たな消費地へ届けることができるほか、生鮮食品の輸出促進を目指す地域のニーズに応えることで、供給地の多様化を通じた食品の安定供給に寄与することができる。
また、同サービスを通じて消費期限延長によるフードロス削減効果がもたらされることに加え、航空輸送から海上輸送への切り替えが進むことで、温室効果ガス排出・輸送コスト削減の効果も期待される。
なお、住友商事とOOCLは、サービスの実装にあたり伊藤ハム米久ホールディングスと30か月に及ぶ実証実験を重ね、従来冷凍品としてのみ輸入されていたスペイン産ポークを、食肉・物流業界として初めて冷蔵輸送することに成功している。
今後は、住友商事グループの食品専門商社である住商フーズやサーモンメーカー大手のモウイジャパンなどとともに、さまざまな生鮮商品の新しい流通モデルの実現に向けて連携を行っていくとしている。
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