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ANA/京セラがSAFプログラムの初荷主に、日通と近鉄エクスプレスが協力

2024年07月08日/3PL・物流企業

全日本空輸(ANA)が行う「SAF Flight Initiative」の貨物輸送を対象としたプログラムに京セラが初の荷主企業として参画することが決まり、7月8日、京セラの物流サービスを手掛ける日本通運、近鉄エクスプレスと共に4社が成田空港で貨物の搭載を見届けた。シカゴ向けに半導体や自動車用の部品を積んだものだという。

<京セラの貨物がシカゴ行きの便に搭載された>20240708anacargo1 - ANA/京セラがSAFプログラムの初荷主に、日通と近鉄エクスプレスが協力

SAF(Sustainable Aviation Fuel)とは、持続可能な航空燃料。バイオマスや廃食油など原材料の生産・収集から製造、燃焼までのサイクルでCO2排出量を従来の燃料より約80%削減できる。

ANAはこの燃料を活用することで、航空貨物の輸送や社員の出張などにより発生する間接的なCO2排出量削減につながるプログラムを2021年10月に立ち上げ、2023年9月から荷主企業向けにもサービスを拡大していた。

<SAFプログラム概要イメージ>

20240708anacargo3 - ANA/京セラがSAFプログラムの初荷主に、日通と近鉄エクスプレスが協力

フォワーダーである日本通運と近鉄エクスプレスがそれぞれANA、京セラと三者間契約を締結。ANAはフォワーダーにも荷主企業にも「CO2削減証書」を発行することで、各企業が環境目標の達成や企業価値の向上に反映させられるメリットがある。

<左から京セラの西澤知一郎氏、NXHDの定月啓一郎氏、近鉄エクスプレスの寺本俊哉氏、ANAの松田義信氏>20240708anacargo2 - ANA/京セラがSAFプログラムの初荷主に、日通と近鉄エクスプレスが協力

ANA経営戦略室企画部GXチームの松田義信氏によると、「SAFのCO2削減率は80%と高いものの、SAFの生産量が需要に対してまだ1%にも満たない。今後の量産と普及が課題。荷主の拡大も目指したい」という。

荷主の立場から、京セラ経営管理本部海外管理部貿易管理部の西澤知一郎氏は「今後はSAFを利用した輸送を前提とした取引も想定され、早期に参入して認知度を向上させたかった」と話す。燃料のコストは従来の約5倍となるが、意義を重視し実現にこぎつけた。

またフォワーダーとして協力したNXHDグローバル事業本部航空フォワーディング部の定月啓一郎氏は「SAF利用拡大のためにはサプライチェーン全体での取り組みが重要」、近鉄エクスプレスサステナビリティ推進室の寺本俊哉氏は「気候変動対策と共に我々のビジネス自体の持続可能性のためでもある」とプログラム参画の意義を語った。

ANAとしては、グロ ーバルビジネスにおける非財務情報の可視化など、サプライチェーン全体の脱炭素化へ向け、「SAF Flight Initiative」プログラム の提供を通じ航空貨物輸送とCO2排出量の削減に取り組んでいく姿勢だ。

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