日本GLPは3月17日、神戸市東灘区で竣工した全館冷凍冷蔵、可変温度帯仕様のマルチテナント型物流施設「GLP神戸住吉浜」を公開した。日本アクセス、水間急配など計3社の入居が決まり、満床で稼働する。
「GLP神戸住吉浜」は地上5階建て。延床面積4万5924m2、収容能力は5万2660トンと、国内最大級の賃貸型冷凍冷蔵倉庫だ。
日本GLPの帖佐義之社長は「多くの困難を克服し、ハードルが高かったマルチテナント型全館冷凍冷蔵倉庫を開発できた。これは日本GLPにとってもマイルストーンになる出来事だ。一つの形として定着し、冷凍冷蔵倉庫の標準化に繋がればと思う」と期待と喜びを語ると共に、「現在は保管型(在庫型)の冷凍冷蔵倉庫が主流。しかし、加工食品の伸びが顕著なだけに、より加工工場と密接な多用途な冷凍冷蔵倉庫が求められる。その意味でもマルチテナント型の冷凍冷蔵倉庫の需要は増すと予測しており、今後5年間で1兆円の投資を行うが、そのうちの3000億円を関西圏に、そのうちの2割となる600億円を冷凍冷蔵倉庫に充てる予定だ」と今後に向けての展開を述べた。
水間急配の横田洋一社長は「2019年頃から労務対策をやってきたが、2024年問題で、効率化を追求するだけでは、ビジネスが成り立たなくなってきた。ドライバーの高齢化や減少で、特に中・長距離輸送では輸送力の低下は避けられなくなってきた。そのため、新規事業として、加工食品の配送のための冷凍冷蔵倉庫運営に目をつけた。しかし、冷凍冷蔵倉庫事業は、参入の壁が厚く、独自では難しかったが、日本GLPの賃貸のマルチテナント型で運営できること、さらにはGLPコンシェルジュで荷主を紹介してもらえ、実際に20社から問い合わせを得たことで、この事業にチャレンジすることに決めた」と抱負を語った。
<日本GLPの駒 俊志営業開発部チームリーダーヴァイスプレジデント>
そして実際に全館冷凍冷蔵、可変温度帯仕様のマルチテナント型物流施設「GLP神戸住吉浜」の開発にあたったのが、日本GLPの駒 俊志営業開発部チームリーダーヴァイスプレジデント。「2017年にチームを発足し、研究を進めてきた。現在は旧式の冷凍冷蔵倉庫がたくさんあり、建て替えの要望は強いが、その荷物の逃がし先がないことで、建て替えが進展していない。建築費も高騰し、例えば売上500億円の企業が100億円以上の冷凍冷蔵倉庫の建て替えとなるとかなり経営に響くことになる」とマルチテナント型冷凍冷蔵倉庫開発の必要性を強調した。
立地としては、国内五大港の一つ神戸港の大型コンテナターミナルに至近で、動物検疫の検査を受けられる希少な冷凍冷蔵物流適地にある。
また阪神高速5号湾岸線「住吉浜IC」から約1.3km、阪神高速3号神戸線「魚崎IC」から約2.5kmと、神戸市内への都心配送も、関西・中国地方の中間地点として広域配送にも優れている。
阪神電気鉄道本線「住吉駅」、神戸新交通六甲アイランド線「南魚崎駅」からは徒歩圏内で、周辺には住宅地や商業施設もあるため雇用確保にもメリットがある。
施設の特長としては、冷凍冷蔵の温度帯切り替えが可能な全館可変温度帯(-25℃~10℃)となっている。
3階へのランプウェイ設置で1階と3階に接車でき、スムーズに搬出。2層使いできるため保管型、流通型の両方に適応する。
接車バースは10t、4t兼用のシェルターを設置したほか、防熱後の有効天井高は5.5mを確保し、耐荷重は1.5t/m2とした。
従業員の身体的な負荷を考慮し、採暖室を設置。ナチュラルカラーのカフェテリアも400m2を確保した。
このほか、地震対策として耐震性能の高いブレース材を採用し、受水槽やキュービクル、冷却設備などは嵩上げし浸水・液状化対策をとった。
また環境への配慮として、ノンフロン断熱材による防熱工事を行った。高効率型自然冷媒冷凍機を代替フロン冷媒に代わり採用。冷却設備年間電力消費量は代替フロン冷媒より約16%削減を想定している。
可変温度帯まで対応した高断熱な防熱機能、気密性を確保したシェルター、陽圧空調による外気流入抑制・デシカント除湿なども備えている。
■施設概要
施設名:GLP神戸住吉浜
所在地:兵庫県神戸市東灘区住吉浜町19-24
敷地面積:2万1195.01m2(6411.49坪)
延床面積:4万5924.19m2(1万3892.07坪)
建築面積:1万2716.27m2(3846.67坪)
収容能力:約5万2660トン(C&F級 5万2660トン)
構造:地上5階建て、耐震・耐火RCS造
着工:2023年8月
竣工:2025年2月
認証取得:CASBEE認証、ZEB認証
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