Amazonは、愛知県名古屋市港区で8月から稼働開始した「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター(FC)」に、東海地方で初となる自動倉庫システム「Amazon Robotics(アマゾンロボティクス)」を導入、9月17日に初公開した。
FCとは、販売事業者から入荷された商品を検品、保管し、注文が入ると棚出しして梱包、出荷する、24時間稼働の物流拠点。地上4階建て、延床面積は約12万5200m2と、Amazonでは西日本最大となる。
アマゾンロボティクスは、約3500台のドライブ(AGV)と約3万1000台のポッド(棚)で構成する。保管フロアの中心を占め、その周囲に人の作業するスペースを配置。ロボットが作業者の居るステーションに商品の入った棚を運んでくるシステムで、人は出荷指示のあった物を棚から取り出す。
施設は三菱地所の「ロジクロス名古屋みなと」をAmazon専用につくったもので、Amazonはロボティクス導入にあたり、いかに棚を効率よく並べるか、柱のサイズやスパン、防火シャッターやエレベーターの位置まで計算して設計したという。
出荷時の梱包では、商品をスキャンすると適切なサイズの資材が提案される。できるだけ段ボールより紙袋を利用し、資源の削減に努めている。
「Amazon名古屋みなとFC」は1900万個以上の商品在庫を持ち、ピーク時は1日に入荷・出荷それぞれ60万個以上に対応する。
アマゾンジャパンの渡辺宏聡 オペレーション技術統括本部 統括本部長は「東海地方で出荷能力の増強が必要になり、FC新設が決まった。名古屋に1900万個以上の在庫を置けることで当日配送可能な商品も増え、結果的にお客さんは『以前より早く届くようになった』と体感できるのでは」と話している。
「Amazon名古屋みなとFC」は、環境に配慮したサステナブルな取り組みを重視した。その1つが、太陽光発電だ。
施設で使用する電力をまかなうため、建屋や駐車・駐輪場の屋根に設備を設けるのはもちろんのこと、Amazonとして世界で初めて、建屋の壁面(南側)にも太陽光発電設備を導入した。
合計5.5MWの発電ができるため蓄電池も併設し、雨天や曇天、夜間にもカーボンフリーエネルギーを活用できるようにしている。
地中熱ヒートポンプを利用した空調システムも導入した。200本の地中熱交換器を埋設し、地下100mから安定した熱エネルギーを取り出す。これを1階の冷暖房に利用。従来の空調と比べ約30%のエネルギー消費量削減が見込める。
さらには、貯水槽に貯めた雨水をトイレなどに利用することで、同規模の従来のFCと比べると上水道の使用量を約40%削減できる見込みという。
このほか地域に向けた取り組みとしては、名古屋市から津波避難ビルの指定を受けており、地域住民が利用することも想定。敷地の一部を最寄り駅「荒子川公園」からの歩行者通路として一般開放するなど「地域社会との共生」を目指す。
■Amazon名古屋みなとFC概要
所在地:愛知県名古屋市港区
アクセス:名古屋高速4号東海線「港明 IC」より約 3.5km、名古屋臨海高速鉄道あおなみ線「荒子川公園」駅より約0.3km(徒歩約3分)
稼働開始:2025年8月
フロア構成:4階建て、1階は入荷・出荷エリアなど、2~4階は商品保管エリア(Amazon Robotics導入フロア)
延床面積:約12万5200m2
商品保管容量:約137万立方フィート
商品の入出荷数:入荷・出荷それぞれ60万個以上/日(ピーク入出荷数)
商品在庫数:1900万個以上
商品の発送先:東海地方を中心に日本全国へ発送
Amazon Robotics:Drive約3500台、Pod約3万1000台
本FC開設による働く機会の創出数:数千人(エリアマネージャー、職場の安全・衛生管理者、商品の品質管理者、設備の保全管理者、テクノロジーを使って商品のピッキング・梱包・出荷作業を担うポジションなど)
稼働時間:24時間
アマゾン/名古屋市で8月稼働、12万m2のフルフィルメントセンターを初公開