国際ロボット展/過去最多673社が出展、ロボット×AIで進化する最新技術が集結

2025年12月04日/IT・機器

世界最大級のロボット専門展「2025国際ロボット展」が12月3日、東京ビッグサイトで開幕した。日本ロボット工業会と日刊工業新聞社の主催により2年に一度開催し、今回で26回目の開催となる。

今回は「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」をテーマに、過去最多の国内外673社・団体が出展し小間数は3334。それぞれ趣向を凝らした実機展示やデモンストレーションを行っている。開催期間は12月6日まで。

<国際ロボット展 会場の東京ビッグサイト>
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<会場の様子>
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会場は、改修工事の影響で西1~4ホール、東4~8ホール、アトリウムを使用し、物流システム・ロボットゾーン、部品供給装置ゾーン、ロボットSIerゾーンの3つに分けてブースを配置。物流関連の展示は主に東4~8ホールとなっている。

今回から、製造業や建設業、農林水産業を支える「スマートプロダクションロボット」と、地域や日常生活で活躍する「スマートコミュニティロボット」の2分野に出展区分を分けて展示しており、スマートプロダクションロボットでは搬送・仕分け・ピッキングが最も多く、スマートコミュニティロボットでも配送分野が最多、続いで医療。人手不足など社会課題を反映したニーズの高まりが伺える。また海外からも過去最大の14か国140社が出展しているのも特徴。来場者も国際色豊かで、約1万人の海外来場者を見込んでいる。

トレンドとしては、AIを活用したロボットやソリューションの展示が増えていること。ハードとしてのロボットの進化に加えて、AIにより自律的に動き他のロボットと連携し現場を最適化するソフトウェアや、人と協働する未来をイメージさせるヒト型ロボット(ヒューマノイド)の展示も見られた。

<Mujinは「最新デジタルツイン工場・倉庫」を再現>
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東6ホールを入ってまず目を引くのは、Mujinのブース。総合自動化プラットフォーム「MujinOS」を基盤に、フィジジカルAIとデジタル技術により、現場の様子がブラウザ上でリアルタイムに同期する「最新デジタルツイン工場・倉庫」を再現し、注目を集めていた。

デモンストレーションでは、複数ケースを同時にピッキングできるでデパレタイズ/パレタイズロボットを初公開。最大能力1000ケース/時というスピード感で、環境設定から積み付けレシピ作成を行う様子を実演した。また「MujinOS」プロダクトとして初となる知能単載パレタイザーも展示。最高1400ケース/時をパレット積みでき、ケースを2個同時に吸着してピッキングし、ティーチレスで積み降ろしする様子や、積み付けレシピの作成、リアルタイムに稼働データを確認できるダッシュボード機能などを紹介した。

滝野一征CEO兼共同創業者は、「マスターレスでマルチピックに対応でき、管理もブラウザ上でリアルタイムに行える。OSをアップデートすればさらに最適化も可能。工場や倉庫の未来はどうなるのか、というのを知ってもらいたい」と話す。

<ダイフクはAGFを初公開>

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仕分け・搬送システムでは、大手マテハンメーカーのダイフクが「SOTR(ソート)」シリーズの4機種を展示。ピース仕分け用、ケース・コンテナ搬送、パレット搬送のほか、今回、無人搬送フォークリフト(AGF)「ソーティングトランスファーロボット F」を初展示した。無人搬送フォークリフトはコンパクトな車体で、狭い場所でも使える業界最小の旋廻半径1mを実現。またセンサーカメラを用いて自己位置をマッピングできるSLAM(スラム)制御の採用により、レイアウトや環境の変化にもスムーズに対応でき、倉庫の入庫・出庫業務の中間搬送での利活用に引き合いがあるという。

<オークラ輸送機>
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オークラ輸送機は、床レールなどのガイドが不要な自律搬送ロボット「OKURUN(オークラン)」と、ハンドにカメラを搭載したパレタイジング用協働ロボット「EasyPAL(イージパル)」を出展。運搬台車の「積む」「降ろす」「運ぶ」作業の自動化を実演。また3次元走行ロボット「Skypod」を映像と共に展示し、未来型メンテナンス「予知保全サービス」を紹介した。

<川崎重工業はAIデパレタイズ(右)と6輪車への積み付けを展示>
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川崎重工業は「ロボットは『相棒』へ」をテーマにブースを構成。生産現場でのAMRを活用した車組立ラインや塗装ロボットのほか、倉庫での荷降ろしをサポートするAIデパレタイズや、6輪台車への積み付けロボットなどを公開した。ロボットがAIや自律移動、リモート操作などの技術で、より身近な存在となっていく未来を提案した。

コンパクトなAIデパレタイズロボットは、本体上部に設置されたカメラによりAIが荷物を自動で識別し、安定的に荷降ろしする。ロボットの進化に加え、AIによりマスターレスで使えるのがポイントで、人手不足が加速する現場からのニーズに応える製品展開をアピールした。

<4足歩行ロボット「CORLEO(コルレオ)>
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また大阪・万博で披露された4足歩行ロボット「CORLEO(コルレオ)も展示。工場など産業利用だけでなく人が乗ることも想定しており、会場では多くの人が立ち止まり、写真を撮るなど異彩を放っていた。

<山善はヒューマノイドとAMRの連携を実現>
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ヒト型ロボット(ヒューマノイド)の展示も見られた。山善は、ヒューマノイドとAMRとの連携のデモンストレーションを初公開。ことし4月から協業しているINSOL-HIGHと、実際の倉庫で取得したフィジカルデータを用い、今回、AMRと同じプラットフォーム制御によりピッキング作業とオリコン移動を連動する様子を実演した。

AMRはどのメーカーでも対応可能で、山善の北野峰陽ヒューマノイドロボット市場開発担当課長は「産業ロボットだけではどうしても残ってしまう工程がある。ヒューマノイドは人の代わりとして導入しやすさがメリット。今後、顧客ニーズに合わせ2026年中の現場実装を目指したい」と話す。

<GMOインターネットグループ>
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GMOインターネットグループでは、「人とロボットが共存する未来」を体験できる展示として、店舗・カフェ・倉庫をイメージした空間で、3種のヒューマノイドを展示。倉庫でオリコンを運ぶ運搬デモも行っている。

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