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最低賃金/昨年比増も余力低下、運輸・倉庫は先行き不安の現状露呈

2025年10月24日/調査・統計

帝国データバンク(TDB)は10月24日、全国2万5546社を対象に行った、最低賃金に関する企業の実態調査結果を発表した。

<年度別 最低賃金と最低時給の推移>
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それによると、従業員を採用するときの最も低い時給(最低時給)の全体平均は1205円となり、2024年9月の前回調査から38円上昇。これは、厚生労働省が発表した2025年度の最低賃金(最低賃金)の全国加重平均1121円を84円上回る結果となった。

また、最低時給と最低賃金の差額に注目すると、2025年は84円であり、前回調査の112円よりも28円低下した。企業は、最低賃金の引き上げにあわせて賃上げを継続して行っているものの、「これ以上賃金を上げると、経営が厳しくなる」(不動産、愛知県)といった声が複数あり、徐々に賃上げ余力が低下している様子がうかがえる。

<業界別 採用時の最低時給>
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業界別では、『不動産』が1284円でトップとなった。『サービス』(1260 円)など5業界で全体平均を上回った。特に、『サービス』を詳細にみると、「情報サービス」(1392 円)や経営コンサルティングなどを含む「専門サービス」(1380 円)、「広告関連」(1335 円)で 1300 円を超え、『サービス』全体を引き上げた。

運輸・倉庫は全体平均を下回っており、短期間の勤務で大きく稼げた時代とは、一線を画す状況になっていることが如実に表れている。一方この1年間で見ると、最低時給が2024年9月の1098円から66円上昇しており、全体平均の上昇値である38円を大きく上回っており、業界の改善が進んでいることが伺える結果となった。

<2029年までの最低時給1500円以上への引き上げの可能性>
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2029年までに最低時給を1500円以上に引き上げることが可能かを尋ねたところ、「既に1500円以上」と回答した企業は6.6%、「可能だと思う」は21.0%、「どちらとも言えない」は26.7%、「可能だと思わない」は38.7%、「分からない」は9.6%だった。

<業界別の引き上げ可能性>
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業界別にみると、「既に1500円以上」と「可能だと思う」の合計が最も高いのは『建設』(35.4%)で、『不動産』(33.9%)、『サービス』(33.0%)が3割台で続いた。

一方で、『小売』は16.5%で唯一2割を下回り、「可能だと思わない」(52.6%)はトップで半数を上回る唯一の業界となった。

なお『運輸・倉庫』は「どちらともいえない」が他の業界と比較して多く、法改正なども含め先行きの見通しが不透明な業界の現状を反映した結果となっている。

また、10業界中、6業界で「既に1500円以上」と「可能だと思う」の合計を「可能だと思わない」が上回り、政府が掲げる2029年までに最低賃金1500円以上への引き上げ目標の達成には、政府の最低賃金の引き上げペースと企業経営の面から非常に厳しいという結果が見られた。

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