三井化学は5月21日、山九と協業しマレーシアのケラン港に海上コンテナ輸送のハブ機能を持つ物流拠点を開設し、2025年4月より本格運用を開始したと発表した。
国際海上コンテナ輸送は、ウクライナ情勢の影響や欧州港湾におけるストライキの頻発に加え、物流人材不足による物流機能の停滞、北米港湾及び内陸輸送の混雑など、不確実性・不安定性が増大することが懸念されている。
こうしたなか国土交通省は2022年12月、国際物流の多元化・強靱化を図るため、従来の輸送手段・ルートを代替または補完する輸送手段・ルートについて実証輸送を公募。12件が選定され、その1つが山九によるマレーシアのクラン港を中継拠点とした輸送・保管サービスの実証実験だった。
三井化学はこの実証実験に荷主として参加し、山九とともに従来の日本の顧客向けの製品配送をメインとした海外物流拠点ではなく、主に日本からインド・中東・欧州向け輸出の「中継貿易拠点」としての機能と輸送ルートを開発。今年4月から同社の国際海上コンテナ輸送のハブ機能として本格運用するに至った。
マレーシアの新たな海外物流拠点は、コンテナ長期蔵置機能だけでなく、貨物をデバンニングして倉庫に保管した後、第3国へ再輸出する機能も備えている。
また一般品だけなく、化学産業にとって重要な危険品や温度管理品のコンテナ長期蔵置、保管、再輸出も可能なため、今後の東南アジア・インド・欧州地区の様々なニーズやマーケットの変化にも柔軟に対応できる。
三井化学は、今後も世界情勢の変化による海上輸送への影響、関税障壁による国際貿易ネットワークの構造変化を見極めながら、必要に応じて更なる海外物流ハブの設置・拡充についても検討を進め、物流環境変化に柔軟に対応できる強靭なサプライチェーンを追求していく方針だ。