日本郵便は7月31日、郵便局で発生した点呼不備事案に関し、国交省および総務省から再発防止策や郵便サービス確保の命令を受けた事案について、その後の進捗状況を報告した。
日本郵便では6月25日の行政処分を受け、全国約330局で使用している1トン以上の車両(約2500台)が使用できなくなっている。このため6月19日以降、約11万8200便のうち約58%を他の運送会社や日本郵便輸送へ委託、残りは軽四自動車へ切り替えるなどの対応を進めている。同日行った会見で五味儀裕 取締役は「現在のところ、大きなトラブルは発生していない。7月20日が投開票日だった参議院選挙についても順調に運行した」と報告した。
<五味儀裕 執行役員>
再発防止策としては「意識改革」「職場マネジメント」「ガバナンス体制」の3つを柱に取り組んでおり、既に6月時点で公表している内容に加えて、新たにKPIを設定するなど具現化へ向け動き出している。「KPIを定めることで取組みを具現化し、施策を進めていくなかで各項目についてもアップデートしていく」と、継続的に取り組む意向を示した。
意識改革では、関係者社員や管理者(本社では7月に実施済み)を対象に研修を行い、受講率100%を目指す。また9月を目途に、「飲酒運転防止のガイドライン」を作成し、全社員(約33万人)対象の社員研修を実施する。
職場マネジメントでは、点呼執行業務に携わる社員を対象に講習し、今年度内に約5万人の「貨物軽自動車安全管理者」を選任、全国に配置する。併せてガバナンス体制をより強化するため、9月を目途に社内に安全を統括する責任部署を新たに設置する計画を明らかにした。
五味執行役員は「安全管理体制についてはトラックの許可取り消し後も継続的に回していく必要がある。8月の取締役会や正式な手続きを経ていく必要はあるが、現在のプロジェクトを継承して、より強化できるような形で組織の改正を行っていきたい」と話した。
各種の再発防止策については、日本郵政と日本郵便の経営層をメンバーとする「点呼業務不備事案にかかる対策等に関するPDCA会合」を毎月実施することでモニタリング体制を強化する。
五味執行役員は「内部監査の部署も含めて、3ラインディフェンスが機能するような会社の仕組みを改めて考えていく。今までの会議体は形骸化していなかったか、従前の内容を引き継ぐだけでいいのか、どこに問題があったのか、部署横断で実施し、より身のあるものにしていきたい」と決意を語った。
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