帝国データバンク(TDB)は8月22日、「女性登用に対する企業の意識調査(2025年)」の結果を発表した。
全業種での女性管理職の割合の平均は前年比0.2ポイント増の11.1%で過去最高も小幅の上昇にとどまった。しかし、平均値よりは下ながら、運輸・倉庫業の女性管理職は2024年の7.4%から9%と1.6ポイント増と全業界のうちで最も高い伸び率を示した。
業界別では、女性従業員が比較的多い「小売」が 20.1%で全体(11.1%)を9.0 ポイント上回り、トップとなった 。次いで 、「不動産」 ( 16.7% ) 、「サービス」( 15.4% ) 、「金融 」( 12.8% ) 、「農 ・林 ・水産」 (11.5%)が上位に並んだ。一方で、工場における三交代制などで生活時間が不規則になりやすい「製造」のほか、長時間労働や力仕事のイメージが強い「運輸・倉庫」、「建設」など、女性従業員数が比較的少ない業界は依然として低水準にとどまった。
企業規模では、「大企業」が平均 8.3%で最も低かった。他方、「中小企業」は11.6%、うち「小規模企業」は 14.3%となり、女性管理職割合の平均は規模が小さい企業ほど高い状況が続いている。
企業からは「どの企業においても、女性の力は大変大きいと感じる。女性にしかできないこと、女性特有の感性などを生かした配置が必要だと考える」(機械製造)や「女性のきめ細やかさなどで仕事のクオリティが上がる」(メンテナンス・警備・検査)といった声が聞かれた。また、「適切な人材がいれば男女問わず登用したい」(電気機械製造)のような意見も複数寄せられた。
一方で、女性管理職の割合が低いまたは女性管理職がいない企業からは、「女性の活躍を推進しているが、昇格する意欲がみられず、辞退する人がほとんどである」(情報サービス)や「社内制度を含めて女性の活躍を推進しているが、結婚、出産、パートナーの転勤など女性が継続して勤務するにはまだまだハードルが高い印象」(化学品製造)といったコメントがあがった。
女性活躍推進のために行っていることでは、、「性別に関わらず成果で評価」が61.9%でトップとなった(複数回答)。「性別に関わらず配置・配属」 (51.5%)が続き、男女平等に関わる項目が上位に並んだ。以下、「女性の育児・介護休業の取り組み促進」(34.1%)といった、女性が家庭と仕事を両立しやすい環境づくりに関する対応策が続いた。
また、「時短勤務の対応」(27.7%)および「就業時間の柔軟化」(27.6%)といった男女問わず働き手の家庭と仕事の両立への支援となる柔軟な働き方関連の取り組みを行っている企業はおよそ 4 社に 1 社だった。他方、政府が特に強化している「男性の育児・介護休業の推進」は 19.8%(前年比 2.3 ポイント増)で前年からの上昇幅は全項目のうち最大となった。
一方で、「キャリア開発・育成の充実」(7.2%)や「キャリアに関するモデルケースを提示」(2.8%)といった女性に対して直接的なキャリア支援となる項目は低水準だった。
雇用動向調査/正社員の採用予定あり「運輸・倉庫」が66.2%でトップ