食品値上げ/「物流費」要因の割合が78.7%で前年同月比10ポイント増

2025年10月31日/SCM・経営

帝国データバンクは10月31日、2025年11月以降の食品値上げ動向と見通しに関する分析結果を公表。11月の飲食料品値上げは合計143品目で、単月の値上げ品目数としては6か月ぶりに1千品目を下回り、2025年内では最少となった一方、2025年の値上げ要因のうち「物流」によるものが78.7%と前年同月より10ポイント以上増加している。

主要な食品メーカー195社の、家庭用を中心とした11月の飲食料品値上げは143品目、1回あたりの値上げ率平均は17%。前年11月(344品目)から201品目58.4%の減少と11か月ぶりに前年を下回った。

2025年通年の値上げは累計2万580品目。前年の実績(1万2520品目)を64.4%上回り、2023年(3万2396品目)以来、2年ぶりに2万品目を超えた。

1回当たり値上げ率平均は15%と、前年(17%)をやや下回る水準が続いた。

食品分野別では「調味料」(6221品目)が最も多く、前年(1715品目)から4506品目262.7%の増加で、年間では2022年以降で2番目に多い水準となった。

値上げ要因では、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なった。

原材料などモノ由来(「原材料高」)の値上げが全体の96.2%を占めたほか、「エネルギー(光熱費)」(63.9%)、「包装・資材」(62.8%)、「物流費」(78.7%)、「人件費」(50.4%)など、主要な値上げ要因ではいずれも半数を超えた。

特に「物流費」「人件費」はともに前年から大幅に増加した。

<値上げ要因の推移(品目数ベース)>
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2025年の飲食料品値上げは、前年実績比で1.7倍程度の2万1000品目以下で着地する見通しとなった。

前年にみられた、円安による急激な輸入インフレ圧力はやわらいだものの、従前から続いた原材料高を吸収できていなかったことに加え、「人件費」など賃上げによるコストアップが表面化している。

また、ドライバー不足を背景とした「物流費」の上昇など、粘着性が高く国内の経済情勢に起因した持続的な値上げ圧力にさらされた。

2026年の値上げ予定品目数は、10月31日までの判明分で500品目を超えるが、前年同時期時点で判明した2025年実施予定の値上げ品目数(1250品目)を下回る水準で推移している。

2025年のトレンドを引き継ぎ、賃上げによる人件費増を中心とした継続的な値上げが続くとみられるものの、現時点では値上げペースは今年に比べて鈍化する可能性がある。

食品値上げ/10月以降3024品目、物流費上昇などで2025年は2万品目超に

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