宮崎県に本社を置くソラシドエアとヤマト運輸は、双方の配送網を活用したスピード配送スキーム構築に取り組んでいる。2月4日、都内の飲食店で実証成果を公開するキックオフイベントを初開催し、本運用フェーズへ移行する。
九州の地産品を小ロットで鮮度を保ったまま首都圏へ配送し、新たな価値創出と販路拡大につなげることで、生産者と地域、事業者にとって「三方よし」の取り組みを目指す。
<イベントにて、左からヤマト運輸 椋本啓太郎 熊本主管支店長、井波勝宏 執行役員(九州統括)、ソラシドエア 新川新一 副社長、池田明史 新規事業推進室長>

イベントは「長崎の朝と、東京の夜に。」と題し開催。会場は長崎県東京産業支援センター内にある飲食店で、長崎の産地直送食材を使ったメニューを提供している。
スピード配送を実現したスキームは、ソラシドエアの「高速航空輸送」とヤマト運輸の「広域配送・配送網」を結合、羽田空港での貨物上屋を経由しない「機側直積み」によりリードタイムを約1時間半短縮し、朝採れの産品をその日の午後に提供するという独自の空陸一貫輸送モデルとなる。
ヤマト運輸は九州エリアの生産者から空港まで、ロールパレットボックスで集荷を行い、羽田空港への空輸と都内の配送をソラシドが担う。実証を経て今後、段階的にヤマト運輸のラストワンマイルを活用し広域配送へ拡大する計画だ。
両社でのスキーム構築について、ソラシドエアの新川副社長は「地方から首都圏へ産品を運ぶには、配送プロセスやコスト面、鮮度維持などの課題があった。ヤマト運輸との連携により、その壁が取り払われ即日配送が可能となり、大きな期待を寄せている」という。
ヤマト運輸の井波執行役員は「九州には生鮮品や地産品が数多くある。一方で高齢化により生産者は減少し、販路が狭くなることが課題となっている。先頃50周年を迎えた宅急便の地域ネットワークとソラシドエアのスピードを融合し、九州の素晴らしい地産品を世の中に広げていきたい」と抱負を語った。
両社は2023年から九州地域の生産者支援を目的に、航空機とトラックを組み合わせた輸送スキームの検討を進めてきた。2026年1月には包括連結協定を締結し、地域活性化と事業成長を目指しさらに取り組みを推進している。
現在、長崎のほか、熊本や宮崎でも実証を進めており、鹿児島や大分でも検討を開始するなど九州エリアへ輸送網を拡げている。
イベント会場となった飲食店を営む、まうまうの山口桂右 社長は「鮮度のよさはもちろん、長く使えるのでロス削減にもつながる。九州と変わらない味を求めるお客さんに喜んでいただき、なかなか東京で食べられない食材を提供できる」とメリットを語った。
会場のテーブルには、長崎県のブランド魚、九十九島「ヒラマサ」や有機野菜、ブランドいちご、ほうじ茶などがずらり。試食も行われ、参加者らはスピード輸送ならではの鮮度と味を堪能した。山口社長によると、長崎県産の朝採れいちごを東京で食べられるのは珍しいという。
長崎-羽田間では現在、卸売市場が休みとなる水曜日に輸送実証を行っている。新たな販路開拓により生産者を支援するとともに、両社では他県でもニーズに応じて様々な輸送モデルを検討している。
今後、実証から運用フェーズへと移行し、事業ベースに乗ていくには料金設定も課題となる。こうした生鮮食品のほか半導体や医薬品等への展開など、さらに検証を進めていく方針だ。
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