物流子会社は現在、食うか食われるかの中に存在しています。
3PL事業を数多く展開していた三洋電機ロジや、グローバル化のノウハウを有していた富士物流などは、好条件のオファーで売却されたと聞きます。買収されたとしても、不思議なことに決して負け組とは見られないのです。
また、日立物流のように食う側に回って、業績を上げている者もいます。
わたしはその辺りをとやかくいうつもりはないですが、これから述べる3つの戦略で、いつ食われても良いように、というかむしろ高く売れるような魅力ある企業にしておきましょう。
1.親会社を輔けて、親会社を大きくしておく
他のグループ企業の後塵を拝したり、横並びになっていたりするのではなく、ナンバー2というポジションにのし上がっておくことです。
それは親会社から委託された物流の仕事を、つつがなくやっているというレベルでは足りないのです。大番頭さん的なポジションです。
ロジスティクスとはもともと、軍隊の野営地の手配が役目。その長が将軍。他国を侵し自国を豊かにするのが仕事です。ロジスティクスの英知を使えば、国を豊かにすることができるのです。親会社を富ませるくらいは簡単なことです。
2.セールスマンを鍛えておく
物流のサービスレベルはハッキリ言って、どこも同じです。革命的なあるいは革新的な物流事業者は、残念ながらほんの一握りです。差別化を図るのは、なかなか難しい課題だと思います。
それでも行うべきは、セールス強化です。そこに人材育成のカギがあると思っています。
それから新規顧客ばかりを狙うことが、セールス担当の役目ではありません。親会社や既存客の売り上げを高め、出荷量を増やし、自社の収入を増やす。これが、ほんとうの営業です。
3.見える化をしておく
これは売却するための目録作りです。何をどうやっているのか、あるいは、どうやって何を得ているのか、そのプロセスを文字や表や図で書きあらわしておくということです。
例えばKPIを活用して、数値による評価基準を作っておくことも、見える化といえます。
それでも、風雲急を告げてきたようなら、ハラを据えて、次の2つのことを実行しましょう。
ビジネスマンとして他では味わえない、羨ましい体験ができますよ。
1.abandon捨てること
ドラッカー先生はシステマチックに捨てよと言われましたが、その通り実行するのは困難です。ただし、見事な復活を遂げた企業は確かに、惜しげなく捨ててきたところです。
世を捨つる人はまことに捨つるかは捨てぬ人をぞ捨つるとはいふ(西行)
2.いさぎよい死ではなく、みっともない死
命脈を繋ぐために、微かな可能性に賭けて右往左往することでしょう。恥もかくでしょう。下げたくない頭も下げるでしょう。
おそらくそれが、物流子会社の方がたにもっとも不足していたものだから、必ずそういう体験を余儀なくされます。
これを人生のチャンスと見て、波瀾万丈のストーリーを紡いでください。(つづく)
■執筆:江島裕氏(ロジスティクス&ビジョン代表)
■ロジスティクス&ビジョン
http://www8.plala.or.jp/logivision/index.html