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経産省/工作機械のサプライチェーン実態を調査

2016年11月25日/調査・統計

経済産業省は、産業競争力上重要な技術のサプライチェーン把握に関する調査研究をまとめた。

<課題と提言>
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第1章で工作機械産業について分析、第2章でサプライチェーンの概要をまとめている。

そ工作機械のサプライチェーンは他業界と比べて短いのが特徴であるとし、サプライチェーンの脆弱性として、NC(数値制御による機械加工)と複数の観点からサプライチェーンリスクが指摘された鋳物を取り上げている。

NCは熊本地震によるサプライチェーンの寸断が顕在化し、それへの本質的な対応が取られていないことが問題。

鋳物は国内鋳物業界の事業継続性が指摘され、海外調達にシフトする工作機械メーカーが多い一方、それが新たなリスク(リードタイム長期化、品質不安定化、図面やノウハウの流出)を生み出している。

各社それぞれのリスクに対応しているものの、日本回帰など抜本的な対応策の検討も意義があるとしている。

解決に向けて、提言案をまとめている。

NC装置の調達先がファナックと三菱電機に集中していること、NCオプションソフトの開発効率の観点でシングルソースが多いことから、サプライチェーン寸断のリスクは非常に高い状況にあると分析。

ユーザー視点では、工作機械メーカーによる表示画面も含めたカスタマイズが功を奏して、どのメーカーのNC装置を採用しても姿も形も同じNC装置として使えるようにすることが可能になってきている。

工作機械メーカー各社が努力して、NC装置メーカー各社のNCを搭載できるようにすることで、リスク分散をする必要があるとしている。

熊本地震ではルネサステクノロジーが生産停止となり、NC装置生産におけるサプライチェーン寸断の要因となった。ルネサステクノロジーにおける複数工場での生産可能性など、リスク回避に向けたオプションの検討が求められる。また、その他の部品でも同様のリスクが存在しないか、入念にチェックすることも必要。

特に困難な品質管理を共同実施するということで、共同購買による海外外注先の確保を挙げている。

例えば、鋳物の場合、コストダウンの観点から中国での鋳物調達の事例が散見される。一方で、品質管理が課題となっている。中国製鋳物の品質の安定性は課題として指摘されているのが現状である。

中小規模の工作機械メーカーのサプライチェーンを強靭化するための一案として、共同購買による海外外注先の確保を提案する。共同購買の肝は共同品質管理である。このような海外外注先で各社が困難に感じている外注先の品質管理を共同で実施することに意義がある。もちろん共同購買によるコストダウンも副次的効果として期待することができるだろう、と提言している。

その他「知能化技術のさらなる開発やIoT対応へ向けて」、「NCやNCオプションソフトウェアに関する人材開発に向けて」、「小規模工作機械メーカーのコンソーシアム形成」について提言している。

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