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国交省/自動運航船の実用化、フェーズIIは2025年までに

2018年06月06日/IT・機器

国土交通省は6月1日、自動運航船の実用化に向けたロードマップの策定等重点施策に係る報告書を取りまとめた。

<自動運航船のイメージ>
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交通政策審議会海事分科会海事イノベーション部会の第7回会合を開催したもので、自動運航船の実用化に向けたロードマップの策定を含め、海事生産性革命の深化のため、今後重点的に取り組む課題・施策等に関して審議を行い、報告書を取りまとめた。

<自動運航船の実用化に向けたロードマップ>
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自動運航船の実用化に向けたロードマップについては、技術開発の動向を踏まえて、基準・制度が足枷とならないように可能な措置を順次講じていく。

フェーズⅠ自動運航船とは、IoT活用船に相当する船舶であり、陸上との通信を含む船舶のネットワーク環境が整備され、そのネットワークを活用して、各種センサー等のデータを収集し、通信する機能が搭載されている船舶。

収集データの分析結果に基づき、最適航路を提案したり、エンジン異常を知らせたりする等の判断支援機能が備わっているフェーズⅠ自動運航船の技術は、すでに一部で導入が始まっており、2020年以降は、より普及が進むと考えられる。

フェーズII自動運航船は、最終的な意思決定者である船員に対して、システムが具体的な「行動提案」(例えば、機関異常の徴候を検知し、未然予防のための保守方法を提案)や「情報提示」(例えば、輻輳海域における高リスク船のハイライト表示)を行うことができる船舶。

船員は提案、提示された内容を参照しつつ、総合的・戦略的な判断を下すこととなるが、依然として各種判断や作業実行の最終意思決定者である。「行動提案」が承認された場合、システムは必要な行動を自律的に実行することができる。

フェーズII自動運航船では、陸上との一体化もより進み、陸上からのモニタリングにとどまらず船上機器の直接的操作も可能となる。

フェーズⅠ自動運航船と比較して、船舶のネットワーク機能がより強化、統合されたものとなり、収集されるデータもより大量なものとなる。

船上機器は、システムとして統合され、相互に通信しながら一体的に機能することとなる。収集データを有益な「知見」に変換するデータ解析技術や人工知能(AI)技術は格段に進化し、その「知見」は船員の最良の判断のためにフィードバックされる。

このフィードバックは、船員がとるべき行動に関するシステムからの具体的な「行動提案」として行われたり、判断に必要な情報を整理して視覚的・聴覚的インターフェースを通じて提示したりすることで行われる。

ネットワーク化、システム化が高度に進むことからサイバーセキュリティの確保がきわめて重要な課題となる。

フェーズII自動運航船は、2020年よりも前に国内で先進的取組が開始され、2025年に向けてODDや適用対象機能の拡大、自律レベルの進化が徐々に進むものと考えられる。

フェーズIII自動運航船は、フェーズII自動運航船の進化版であって、自律化レベルについては、緊急時以外は人間の介入が不要なレベル、適用業務は離着桟も含む、主要な業務が適用対象となり、システムの作動条件は、船舶の想定航路においても通常遭遇する条件に対応できるような船舶。

フェーズIII自動運航船の技術的構成を現段階で想定することは困難であるが、その自律性の高さから「船員が8各種判断や作業実行の最終意思決定者である」とは一概には言えない領域が生じることが想定される。

■海事産業の生産性革命の深化のために推進すべき取組について報告書
http://www.mlit.go.jp/common/001237409.pdf

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