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物流最前線 福岡運輸の物流戦略

2019年08月05日/物流最前線

省力化、省人化には、IT・デジタル化は欠かせない

―― この1年、さまざまなシステム、デジタル化についての発表をしています。

富永 物流のAI化、IoT化、ロボット化、デジタル化、自動化といった言葉が氾濫していますが、ポイントは省人化、省力化だと思います。ロボット化や自動運転などのハード面において自動化による運用はコストもかかり、時間もかかりますので、現時点では実現はなかなか難しいと思います。今、手を付けているのは、事務作業についてのデジタル化による省人化です。その一つにAI画像ソリューションによる受注業務があります。

―― AutomagiのAI画像ソリューション(AMY)を用いたソリューションですね。

富永 弊社の受注の半分以上がいまだにFAXです。もちろん自動的にオーダーが入ってくるEDIのシステムもありますが、半分以上がFAXなのです。当然、それを再入力しなければなりませんし、ミスを防ぐためにチェックも必要になります。それでもミスは起こります。そこで、顧客から送られてくるフリーフォーマットの発注依頼書をAutomagiの開発したAI画像ソリューションによる、光学的文字認識と画像認識技術により、読み取り、自動で抽出・出力するようにしました。

<Automagiの実証実験の概要>

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―― 発表によると、認識制度は93%、業務効率化は70%とあります。

富永 現在、実証実験の真っ最中で、本格導入は今年の9月以降としています。実験では、確かにそのような効果が認められました。受注管理業務のFAX処理には、これまで約25人の担当者が必要でしたが、それが8人程度で済むようになります。それでも、まだ人手が必要なのは、読み取れないものに対してのチェックが必要だからです。判断がつかないものに対して、AIではより近いものに振り分ける手法もあるのですが、今のところははじき出す選択をしています。

―― はじき出すのはなぜですか。

富永 何よりも、食品物流では間違うことは絶対避けたいからです。はじき出したものは人間の目で判断するために、8人程度の要員が今のところは必要となっています。最初に導入するのは、福岡支店か東京支店になると思いますが、より効果が確認できれば、全国の支店に広げていきたいと思っています。非常に期待しています。

―― バース予約・受付システムも稼働開始しました。

富永 このシステム導入により、ドライバーの待機時間が解消され、物流効率が格段に上がるものと思います。待機時間の問題は深刻で、これまで、繁忙期では東京や神奈川では5時間待ちとか10時間待ちということもありました。仕事どころじゃありませんね。待機時間を短くしようということは、みんな一致するのですが、そこにコストが発生することになると、非常に難しくなります。待機時間問題は社会的な問題で、これは業界が一体となって取り組むべき課題でしょう。

<バース予約・受付システムの全体像>

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―― 車両管理システムはこの4月から導入しました。

富永 これにより、情報共有化が図れるとともに、車両整備基準を設定し、整備目安の予測を行うことで、漏れやバラつきを防ぎ、メンテナンスの適正化を図ることができます。

―― これらのシステムは自社開発か共同開発だと聞いています。

富永 古くから社内にシステム開発部門を持っており、そこが担当しました。既成のシステムを購入するのも悪くはないですが、私たちの倉庫はDCとTCを組み合わせた独特のもので、両方式に対応したものは少ないんですね。補助金などももらえましたので、十分満足できる価格で導入できました。

―― 自社開発できる力があるとは羨ましいですね。

富永 実は開発したソリューションを売る会社も持っていますが、開発より売る方が難しいですね。

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