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物流最前線 福岡運輸の物流戦略

2019年08月05日/物流最前線

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国内では、冷凍・冷蔵輸送のパイオニアとして知られ、1958年から全国で営業を続けている福岡運輸。このところ、自社で開発した車両管理システム、バース予約・受付システムや新たな拠点の整備、さらには画像認識という注目の技術を用いた受注管理システムの開発など、物流の大変革期に対応した新たな展開を始めている。
富永シヅ創業者の孫にあたる富永泰輔氏は社長に就任して8年目。「冷凍・冷蔵輸送のパイオニアでありながら、規模的にはNo1の企業ではない。この10年でネットワークを完成し、他社と堂々と勝負していく」と富永社長。今後の展望と方向性を聞いた。

<名古屋営業所の空撮>
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最大の課題は人手不足、外国人採用も視野に

―― 福岡運輸といえば、冷凍・冷蔵輸送のパイオニアとして知られています。

富永 そうですね。これはもう私たちのアイデンティティですからね。1958年創業、その2年後には、国産第1号の冷凍車を走らせていますから約60年超になります。私たちのベースはここに尽きます。ただ、国内の冷凍・冷蔵輸送のパイオニアだったのは確かですが、規模的にはNo.1に成れていません。今後の大きな課題です。

―― 日本の物流環境も大きく変化してきていますが、今一番の課題とは。

富永 やはり、少子高齢化に伴う、人手不足、ドライバー不足、従業員不足は深刻です。ほんの数年前は、失業率も高く、人が余っていた時代だと思いますが、いまや、物流業界だけでなくあらゆる産業で人手不足が叫ばれています。福岡運輸でも、ドライバーだけでなく、倉庫要員、事務職社員とすべてにおいて不足しています。

―― なぜ、このような状況に。

富永 人手不足の要因は多岐にわたり、一概には言えませんが、例えば以前のドライバー職の給与は確かに他の産業と比べても高く、「稼げる」といったことが魅力だったと思います。ただ、以前は、無理な労働、いわゆる長時間労働が当たり前の時代でしたからね。時間だけ見れば、明らかに今の何倍も働いていたものと思います。働き方改革が進められている現在では、それは無理です。

―― ドライバーを獲得するためには何が必要ですか。

富永 それは創業者が語っていた「物流とは社会に必要な仕事」「社会をよくする仕事」といったことを、広く世の中に浸透させれば、プロドライバーの仕事が社会的に高く評価され、それに応じた報酬も得られるものと思います。物流企業自体を魅力的な職場にしていくことで、倉庫要員も事務職等の従業員獲得にもつながってくるものと思います。ただ、この実現はなかなか難しく、業界が一体となって強力に推し進めないと実現できません。

―― 外国人の採用については。

富永 これも業界が一致団結して採用を進めるべきだと思います。国の技能実習生の範囲に物流は今のところ入っていませんが、例えば倉庫作業などは十分に技能習得ができる職場だと思っています。特に、世界一の品質を誇っている食品分野での低温物流は、さまざまな知識や技術が必要ですし、今後アジア圏の人たちの生活を支える重要なインフラになることを考えたら、技能実習制度を採用するべきだと考えています。ただ、個人的にはドライバーに関しては、運転免許の問題もあり、ハードルが高いと思っています。

―― 福岡運輸での具体的な従業員確保の方策とは。

富永 できることは限られていますが、新卒採用を続けています。毎年10人から20人は必ず採用するようにしています。さらに、社内研修制度に力を入れています。人材育成のためですが、定着率とレベル向上のためには欠かすことはできません。それと、少ない人数でも効率よく仕事をすることができるように社内業務のデジタル化ですね。

<富永社長>

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