CBREは4月28日、「ロジスティクスマーケットビュー 2021年第1四半期」を発表した。
それによると、今期(Q1)首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は1.1%、前期から0.6ポイントの上昇となった。空室率が1%台になるのは、2019年Q4の1.1%以来。
今期の新規供給は5棟で、そのうち2棟は満室稼働したが、テナントが再募集になった物件もあり、空室が残った。
地域別では、東京ベイエリアでは、新規供給はなかったが、既存物件で空室が発生し、空室率は前期0.0%に対し、今期は0.9%となった。しかし、需給バランスがひっ迫していることにかわりはなく、実質賃料は対前期比0.8%上昇の7440円/坪となっている。中小型の新築計画が複数あり、都心特有のニーズの受け皿として注目されている。
外環道エリアでは、空室率は前期の0.3%から1.6%に上昇。今期竣工した物件で空室が残ったことが主な要因。実質賃料は5180円/坪。対前期比横ばいとなった。2021年の供給は、今期の竣工物件を含めて5棟中4棟が埼玉県内に集中する。中でも、2014年以来途絶えていた三郷IC周辺での供給が3棟ある。これら新規供給の影響で同地域の利便性が見直されているため、賃料は上昇傾向だ。
国道16号エリアでは、今期は供給がなく、空室率は前期に続き0.0%を記録した。ただし、Q2以降の竣工予定物件では、満床となった物件は少ない。前期時点で内定済みと推定されていたスペースが再募集となったほか、既存物件で転貸区画が複数あるなど、今後は空室率が上昇する可能性がある。実質賃料は4430円/坪、対前期比0.2%増とわずかな情にとどまった。
圏央道エリアの空室率は前期の0.9%から3.1%に上昇。今期の竣工物件4棟のうち2棟が空室を残して竣工したことが要因。しかし、向こう2四半期の間に竣工する予定の5物件のうち、4棟がすでにテナント内定済みとみられる。実質賃料は対前期比0.8%上昇し、3580円/坪となった。
近畿圏エリアでは、空室率は1.9%と対前期比1.8ポイント低下した。近畿圏で空室率が2%を下回るのは、2016年Q2の1.9%以来である。湾岸部では既存物件の空室消化が進んだ。向こう2四半期の供給予定物件は複数の物件で1棟借りが内定しており、空室率は低い状態が続く見通しだ。今後は物件の競争力見合いで稼働率に格差が生じるだろう。実質賃料は対前期比横ばいの4020円/坪。過去2年間で13%上昇していることや業績見通しへの不安から、テナントは新規の無医薬に慎重になっており、賃料上昇は抑えられている。
中部圏エリアでは、空室率は対前期比1.7ポイント低下の8.6%となった。今期は新規供給がなかったが、前期竣工物件で空室の一部が消化されたことが空室率低下の理由。移転元のスペースも後継テナントが決定するなどテナントに動きがみられるようになってきた。2022年は約17万坪の大量供給を控えているため、オーナー側のテナント誘致活動も活発化。実質賃料は3590円/坪。4四半期連続でタイ前期比横ばいとなった。
福岡圏エリアでは、空室率は2019年Q2以来、0.0%が続いている。今期は鳥栖地域の新規供給1棟が満床で竣工。2021年はさらに2棟の供給が予定されているが、いずれもすでに1棟借りて満床となっている。これまで供給が少なく、倉庫スペースが不足していたため、多少供給が増えても需給バランスは逼迫したままである。実質賃料は3170円/坪。対前期比0.6%増。LMTの開発が広がる中で、より使いやすい構造の施設は評価が上がりつつある。
CBRE/首都圏の大型マルチ型物流施設の空室率は9.7%と横ばい