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OKI/熟練配車マンの技量をAI化、2023年度にサービス開始

2022年10月31日/IT・機器

沖電気工業(OKI)は10月31日、ルート配送の配送計画を最適化するアルゴリズム「コスト最小型ルート配送最適化AI」に、熟練社員の配車技量を持たせることで、配送時間調整などを自動化するプログラムを新たに追加したと発表した。

<「コスト最小型ルート配送最適化AI」の開発で共創関係にあるロンコ・ジャパンのトラック>
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「コスト最小型ルート配送最適化AI」は、OKIが効率的な配送方法として普及拡大を目指す「分割配送」(一つの配送先拠点に対して複数台の車両で荷物を届ける配送方法。適切に管理すれば、車両の空いたスペースを活用しやすく積載率向上など生産性の高い配送が可能となる)をもとに構築した独自のAIアルゴリズム。OKIは、ロンコ・ジャパンとの共創によって2021年11月から同アルゴリズムの試行運用を開始し、最小コストかつ最適な配送ルートを算出できることを実証している。

一方で、走行距離削減を最大化すると過剰な分割が発生し、各店舗での積み下ろし作業の増加や複数車両が同時に搬入するなど煩雑さによる分割損を考慮しなければならなかったほか、地図上では高速道路などの有料道路を利用することで最適な組み合わせであっても、渋滞や通行止めなど配送リスクが高いルートへの配慮などが必要だったことから、これまでは最終的に熟練社員の経験による調整を行わないと、スムーズな運用ができない場合もあった。

新たに開発したプログラムでは、熟練社員の配車技量をAIに持たせたことで、配送時の荷物の過剰分割を防止する機能や、あらかじめ配送リスクの高いルートを除外する機能を追加。これにより、経験が浅くても熟練社員と同等の配車技量で最適な配送ルートを算出できるようになったほか、従来では考慮しきれなかった有料道路利用料の配慮も追加し、経費削減効果も期待できるようになった。

実際に配送車両台数15台、配送店舗数約50のエリアで同プログラムの実験を行ったところ、同プログラム実装以前の実験で実証されていた燃料費約360万円に加えて、有料道路利用料を含めた約700万円のコスト削減効果を確認している。

<OKI イノベーション推進センターの前野 蔵人 センター長>
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「コスト最小型ルート配送最適化AI」を開発したイノベーション推進センターは、2020年にAI技術の研究開発を行う部署と、社会課題の解決を目指した新規事業を創出する部署とを統合して設立した社長直轄組織。AIエッジ技術に注力し、ニューノーマルに向けた新規分野への挑戦の一つとして物流分野でのサプライチェーンの自動化に取り組んでいる。

ロンコ・ジャパンとの共創について、OKI イノベーション推進センターの前野 蔵人 センター長は「2020年5月に共創を開始し、2021年11月から『コスト最小型ルート配送最適化AI』を実際の現場に導入して実証実験を開始。今年6月からは本格運用を開始しており、現在まで順調に稼働している」と成果を語った。

今後は、他社のTMS(輸配送管理システム)に「コスト最小型ルート配送最適化AI」を組み込む形で、2023年度のサービス開始を目指すとしている。

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