秩父市生活交通・物流融合推進協議会は3月3日、埼玉県秩父市の大滝地域において、買い物支援の実証実験を実施した。
＜ベルクでヤマト運輸が商品を集荷＞
＜ヤマト運輸が商品を路線バスに積み込む＞
＜アズコムデータセキュリティが路線バスで運ばれた商品を受け取る＞
秩父市の大滝地域では、人口減少による生活品などを購入できる小売店の減少や、高齢化に伴う運転免許証の返納により、購入先や購入品の選択肢が限られており、日常生活の維持に課題がある。協議会ではこれらの山間地域の課題解決に向け、2020年11月より物流・公共交通ネットワーク「秩父モデル」の構築に取り組んでいる。
実証実験では、地域課題の解決と事業者の輸送の効率化を目指して、路線バスを活用した貨客混載による買い物支援を実施し、実装を見据えたオペレーションの確認を行った。
路線バスを活用した貨客混載の実証実験内容は、WebまたはFAXでスーパーマーケットに商品を注文、定時定路線で運行している既存の路線バスに注文商品を積み込み、大滝地域の個人宅へ配送。
＜実証実験の流れ＞
具体的な流れは、1.住民が、ベルクネットスーパー（WebまたはFAX注文）のいずれかの方法で、商品を注文する。2.注文を受けたベルク秩父影森店が、注文を確認後、商品を梱包する。3.ヤマト運輸が、ベルクで商品を集荷、「西武秩父駅」まで配送、「西武秩父駅」発の路線バスに積み込む。4.西武観光バスが、貨客混載で「西武秩父駅」～「大滝温泉遊湯館」まで商品を運ぶ。5.アズコムデータセキュリティが「大滝温泉遊湯館」でバスから荷物を引き取る。ゼンリン住宅地図を活用したナビゲーションアプリで、配達ルートを作成し、そのルートを基に大滝地域の個人宅へ配送する。
実証実験結果では、昨年度の実証実験の残課題であった「荷物引継ぎ時のオペレーション」を、実装を見据えて調整し、実証実験ではスムーズな運用に成功した。また、大滝地域の住民には、通常は配達エリア対象外のネットスーパーからの購入といった、現状ではできない方法での買い物を体験してもらった。
今年度は実証実験を通じて得られた成果を踏まえ、買い物支援サービスのオペレーションやコスト面での課題を抽出・整理する。来年度以降は、今年度に協議会で実施した「埼玉県秩父市の山間地域における共同配送サービス（2022年9月20日リリース）」と連携し、1つの物流サービスモデルとして実装を目指す。
■実証実験の概要
実施日：2023年3月3日 13:00～16:00
実施エリア：埼玉県秩父市大滝地域
実施内容：路線バスを活用した貨客混載
各者の役割
(秩父市)事業主体・実証フィールドの提供、地域住民との合意形成、関係会社連携協力
(ゼンリン)全体統括、関係会社との調整、ゼンリン住宅地図を活用したナビゲーションアプリの提供
(西武観光バス)路線バスを活用した貨客混載に関する実施計画、貨客混載による商品配送
(アズコムデータセキュリティ)「大滝温泉遊湯館」から大滝地域の個人宅までの商品配送
(ヤマト運輸)実証実験の企画や提案、ベルクから「西武秩父駅」までの商品配送
(ベルク)住民からの注文受付、梱包作業
