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日本郵便/13.9%の郵便局が協力会社の委託料引上要請に応じず

2023年04月14日/3PL・物流企業

日本郵便は4月14日、中小企業庁による調査で発覚した協力会社からの価格転嫁の要請に対する不適切な対応を受けて実施するとしていた、郵便物や荷物の配達・集荷業務などの委託契約に関する協力会社とのパートナーシップ構築に向けた取組について、進捗状況を発表した。

同社は、中小企業庁が公表した「価格交渉促進月間(2022年9月)フォローアップ調査の結果」で、協力会社から価格転嫁で最低評価、価格交渉についても下から2番目の低い評価を受けたことから、今後の対策として「全国約1000の集配郵便局全局と全国13支社で、配達・集荷などの委託契約に関する自主点検を行い、2月中に完了させる」「2月17日までに、全国13支社に協力会社との相談窓口を設置する」「協力会社から具体的な相談があったときには、適正な価格設定に向けた協議の場を設ける」「2月20日~3月31日の間を、協力会社とのコミュニケーション促進月間と設定し、日本郵便から積極的に契約内容について協議を行う」の4項目を実施することを2月13日付で発表しており、今回、各項目の実施状況について経過を報告した。

それによると、1つ目の対策である自主点検では、郵便局と支社にアンケート調査を行い、日本郵便が2021年6月~2022年5月までの1年間に行った集配関係委託契約に関する下請取引を対象として、下請事業者に対する発注方法、下請取引に関する書類などの保存、下請代金の支払い、下請代金の額の決定、経済上の利益の提供要請など、下請取引で親事業者に求められる対応や禁止事項などの実施状況を確認した。

その結果、下請法に基づく運用基準(2022年1月改正)と下請中小企業振興法の振興基準(同7月改正)で、親事業者に求められる対応について、一部に改正後の運用基準などを踏まえた取り扱いが行われていない実態が認められたほか、一部に下請取引に関する正しい理解が不足している事例があった。

主な事例としては、全体の13.9%にあたる139局・2支社で、取引先からのコスト上昇を理由とした委託料の引上げ要請に対し、「取引先と協議することなく委託料を据え置く」または「委託料を据え置いた際、その理由を文書やメールで回答していない」事例が確認された。

また、同6.6%の67局で、下請代金の支払基準(役務提供日から起算して60日以内)について、「請求書提出日を基準に支払う」旨の誤認識が見られる事例が確認されたほか、1局で協力会社に対して日本郵便の営業用物品を無償で配達させた事例が確認された。

これらの原因について、日本郵便は「下請法に基づく運用基準および下請中小企業振興法の振興基準の改正内容などに関して日本郵便本社が把握しておらず、指示が遅れたため郵便局や支社への理解浸透が徹底されなかった」と理由を述べている。

また、2つ目の対策である相談窓口の設置状況については、2月17日までに全国13支社に協力会社との相談窓口を設置し、4月5日までに合計133件の相談があった。また、その大半が委託料の見直しに関するもので、コミュニケーション促進月間の取組などを通じて、支社と郵便局が連携して対応していくとしている。

3つ目の対策であるコミュニケーション促進月間の実施状況については、2月20日~3月31日までを協力会社とのコミュニケーション促進月間と設定し、現在締結している全ての集配関係委託契約(5500件)の協力会社との間で、委託料などの契約見直しの協議を推進。4月10日時点で、全体の2割弱について、協力会社と委託料などの見直しに合意しており、残り8割強については現在も協議中であるとした。なお、協議が予定よりも長引いていることから、同月間の期限を当初の3月末から4月末まで延長したうえで、協議を完了させる見通し。同月間については、今後も毎年設定するとしている。

日本郵便は、今後の対応について「協力会社との取引に関する郵便局、支社、本社の役割の明確化」「協力会社との契約内容、協議などの手続の整備(データ管理)、契約手続の電子化試行」「郵便局、支社、本社担当者への定期的な研修」などに取り組むことで、集配関係委託契約に関する管理体制を整備し、下請法に基づく運用基準および下請中小企業振興法の振興基準の改正内容など、下請取引の適正な運用を徹底するとともに、協力会社とのパートナーシップ構築に引き続き取り組んでいくとしている。

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