伊藤忠商事、日本製鉄、太平洋セメント、三菱重工業、INPEX、大成建設及び伊藤忠石油開発は、7社共同で提案した日本海側東北地方CCS事業構想が独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の公募事業である「先進的CCS事業に係る設計作業等」に採択された。
CCSは、日本政府が掲げる2つの目標「2050年カーボンニュートラル」及び「2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)」の実現に向け、Hard-to-Abate産業等の脱炭素化において最大限活用すべき手段として位置付けられている。その社会実装に向けて、JOGMECは2030年度までに国内で排出された二酸化炭素(CO2)の地下貯留の実現を目指し、2023年に先進性のあるCCS事業(先進的CCS事業)の公募を行い、構想は国内初の政府支援対象となる先進的CCS事業の1つとして採択された。
構想は日本製鉄の九州製鉄所大分地区及び太平洋セメントグループのデイ・シイ川崎工場から分離回収したCO2を貯留適地候補に船舶を用いて輸送・貯留するもので、2023年度にCO2の分離回収・輸送・貯留に係る事業性調査を実施してきた。事業性調査には、事業全体での技術的課題の整理の他、経済性や社会的受容性の獲得等に向けた検討も含まれている。
採択された作業では、その次のフェーズとなるCO2の分離回収・輸送・貯留に係る基本設計(FEED:Front End Engineering Design)作業、試掘調査等を行う。事業性調査の結果を基に、CO2の分離回収・船舶輸送・地下貯留の各要素に対して技術面・経済性の両面から事業の基本設計作業等を進め、2030年度の操業開始に繋げていくことを目標としている。