フィジカルインターネット実現会議 化学品ワーキンググループは12月23日、化学業界における物流の課題解決に向け、共同物流の実証実験による効果を確認したと発表した。
化学品ワーキンググループ参加企業の内、三菱ケミカルグループ、三井化学、東ソー、東レ、プライムポリマーは本年9月から12月まで、政府がフィジカルインターネット実現会議で推進している、物流データプラットフォーム(PF)や物流情報標準ガイドラインを活用した実証実験を、国土交通省及び経済産業省の補助金を活用して実施した。
四日市~市原のコンビナート間を結ぶ実貨・実車を伴う実地検証に加えて、中京~北陸間における共同物流のシミュレーション、市原~東北間における輸送効率の分析を行い、共同輸送の効果と共同物流プラットフォームの有用性を検証した。特に、実地検証においては、トラック積載率(20pt改善)、CO2排出量(28%削減)に顕著な効果が確認できた。
実証実験の狙いは「化学品業界で前例のない、複数荷主・複数物流事業者間における共同輸送が可能であることの実証 」、「定期幹線便を中心とした共同集配を含む共同輸送モデルの実効性の確認・評価」、「複数の荷主と物流事業者間の各種データ交換をマルチに行うための“共同物流プラットフォーム“および物流情報標準ガイドラインに準拠した化学品業界としての“物流情報標準フォーマット”の有用性の確認」、「複数荷主の輸送実績データを基にしたシミュレーションによる共同物流の可能性と効果の検証」としている。
実証実験では共同物流の実現可能性と物流効率化を確認することができたので、今後は対象範囲を順次拡大し、デジタルによるスケールメリットを増大させていく。また、共同物流を実施するためには、複数荷主・複数物流事業者間での物流業務標準化や、商慣行の見直しが重要であることが分かった。
今回得られた知見を基に、化学品ワーキンググループにて公表した自主行動計画に則り、アクションプランの実行を進めていく。将来的には、日本全国に展開可能な輸送モデルの構築をめざすことで、物流におけるGHG削減や持続可能な物流の実現を通じて、日本の化学産業のサステナビリティに貢献していくとしている。
富士通/化学業界で物流DXを加速へ、共同物流の実証実験に参画