商船三井は5月30日、グループ会社である商船三井ドライバルクが運航する大王製紙向け木材チップ船「VANGUARDIA」(ヴァンガルディア)より、気候変動対策に活用される海洋観測装置(アルゴフロート)3台を2025年5月にチリ沖に投入したと発表した。
アルゴフロートは、世界気象機関等が協力の下、25か国以上の国・地域が参画する、気候変動に影響を及ぼす海洋内部の変動をリアルタイムにモニタリングする海洋観測システムの構築を目指す国際プロジェクト「アルゴ計画」を支えるもの。現在、約300km四方に1台、全世界で約 4000台のアルゴフロートが常時稼働しており、日本では、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)と気象庁が中心となって、毎年約100台程度のアルゴフロートを投入している。
この全球モニタリングを長期にわたり継続するためには、常にアルゴフロートの観測空白域の充足に努めなければならず、参画する国の研究機関の観測船だけでなく、他機関、民間、非営利団体などの協力が欠かせない。国際アルゴ計画の運営チームでは、これらの企業、団体のサポートによるフロート投入が、アルゴ計画にとって今後ますます重要になると考えられている。
同社は、今後も、グループの船舶と航路を活用し、アルゴフロート投入への協力を継続する。加えて、同社が運航予定事業者として選定されている JAMSTEC が建造中の北極域研究船「みらいⅡ」の運航と併せて、気候変動対策だけでなく、海洋環境保全、生物多様性保護、大気汚染防止などの取り組みをグループ一丸となって進めていくとしている。
なお、アルゴフロートは、全長約2m、重量約20kg程度の小型観測機器。本体の中に、浮き沈みをするための機構、センサー、通信機構など、様々な機能が搭載されている。フロートは一旦投入されると、本体に搭載されているコンピュータと電池によって約4年間自動で観測を行う。