国土交通省は7月28日、Web会議形式で第4回「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」を開き、物流事業者構成員がプレゼンテーションを行った。
日本通運の杉山千尋副社長は、鉄道モーダルシフトの拡大には激甚化する災害への対応や早期の復旧体制確立などが重要であるとして、国によるインフラ整備などを求めた。
栗林商船の栗林宏吉社長は、トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制適用などにより、2024年度の長距離フェリーのトラック航送実績が前年度比6%増加したことを報告した上で、さらなる増送に向けて省エネ型船舶の導入や船舶の大型化などを進めるとともに、陸上運送事業者との「モーダルコンビネーション」拡大の必要性を強調。
日本航空の木藤祐一郎執行役員貨物郵便本部長は、国内の旅客航空便の貨物スペースが約3割しか活用されていない現状を明らかにし、荷主やトラック事業者に航空貨物の優位性などについて周知を進める考えを示したほか、羽田・成田両空港の一体的な運用に向けた各種手続きの簡素化などが首都圏空港のグローバル拠点化には不可欠であると指摘した。
全日本交通運輸産業労働組合協議会の慶島譲治事務局長は、変動給の割合が高いトラックドライバーの賃金体系を改めた事業者の例を挙げ、労使一体となってドライバーの処遇改善を進めることで離職者の増加を抑制することができるとした。
松浦通運の馬渡雅敏会長は、ドライバーの時間外労働時間の上限が現在の年間960時間から一般則の720時間に短縮されれば、ドライバー不足に拍車がかかると予想されることから、パレット化や高速道路利用など物流効率化につながる取り組みを加速させる必要があると説明。
太成倉庫の鈴木又右衛門社長は、荷待ち・荷役時間の短縮には荷主の理解が不可欠であるとし、トラック予約システムの導入や受発注の前倒しをはじめとする「新たな商習慣の定着」に向け関係者が取り組むべきとした。
日本物流団体連合会の河田守弘理事長は、外国人採用・育成の標準化や中継輸送のための公共施設整備などについて、国が後押しするよう求めた。
次回検討会は8月下旬に開催し、荷主関係の構成員からプレゼンテーションを行った上で、9月に第6回検討会を開き論点整理と提言に盛り込む事項の検討を行う。
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