ニチレイロジグループは11月27日、東京都港区港南にある「R&D（Research＆Development）センター」の施設見学会を開いた。
冷凍冷蔵の低温環境下で過酷な作業をどのように自動化、省力化できるか、ロボットやマテハン機器を用いて実証実験し、現場への本格導入を検証する場として昨年4月に開設したもので、初めて公開した。
＜1階にR＆Dセンターがある品川物流センター外観＞
R&Dセンターは、地下1階、地上5階建て、延床面積約1万9000m2のロジスティクス・ネットワーク品川物流センター1階を利用。
1092m2のスペースに、トラックバースにつながる荷さばきエリア（約5℃）、冷蔵エリア（3～5℃）、冷凍エリア（－20℃）を設け、それぞれ現場に近い環境でAGVなどを動かしている。
＜冷凍エリアの水平搬送ラック（左）と3Dパレットシャトル（右）＞
冷凍エリアでは、三進金属工業の水平搬送ラック「アイシャトル」と、Phoxterの3Dパレットシャトルシステム「ZIKOO」を設置。
フォークリフトでラックの間口に荷物をセットし、レール上を移動させる仕組みで、これまでフォークリフト作業者が倉庫の奥まで入り行っていた入出庫作業が、間口で済むようになる。
3Dパレットシャトルは拡張や移設の柔軟性があり、品川物流センターのような既存の古い倉庫であっても、柱や梁を避けて商品を保管できるよう、高密度にラックを組み立てることができる。
今後は、自動フォークリフトと連動させ、さらに省人化することも検討しているという。
＜開発中の冷凍AMR＞
メーカーと協力し、冷凍エリアで稼働するAMRの開発も進めている。マイナス20℃の環境や、温度帯の異なるエリアを行き来してもセンサーやカメラが安定稼働するか、荷物の置き場所が日々変化しても対応できるかなど、実証中だ。
＜冷蔵エリアのアームロボとAGV＞
冷蔵エリアでは、MujinのアームロボとAGVを連携させ、荷物の積み替え作業だけでなく、AGVによる搬送との連動性を検証している。
＜パレットAGV＞
＜カゴ車AGV＞
このほか荷さばきエリアでは、PhoxterのパレットAGV「HIKROBOT」や、トヨタL&Fのカゴ車AGV「KEY CART」が活躍。輸配送から倉庫内作業まで全体を通して、効率よく作業負荷を軽減することを目指している。
＜北川 取締役常務執行役員＞
公開に当たり、ニチレイロジグループの北川倫太郎 取締役常務執行役員は、「低温物流の過酷な庫内環境において業務革新は欠かせないテーマ。業界の先頭に立って取り組む義務があると考えている」と話す。
中期経営計画では重点施策の一つに「持続可能な物流基盤のさらなる強化」を掲げ、R&Dセンターを通じロボットの本格導入など加速させる方針だ。
＜勝亦 業務統括部長＞
また勝亦充 業務統括部長は「非常に寒く厳しい労働環境でますます人手不足は深刻になる。『省人化』だけでなく、熟練者でなくてもできるようにする『業務の誰でもできる化』も価値ある取り組みだと思う。人と機械がベストミックスした低温物流を目指したい」などと語った。
■ニチレイロジグループR&Dセンター概要
所在地：東京都港区港南5-3-34（品川物流センター内 1階）
アクセス：「品川駅」都バス品川ふ頭循環経由10分、「天王洲アイル駅」徒歩15分、首都高「芝浦IC」2km・「大井IC」3km、国道357号線3km
延床面積：1092m2
設備能力：1320トン
トラックバース：3バース
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