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川崎汽船/ノキアと協業し海運DX分野での実証実験を開始

2021年03月12日/IT・機器

川崎汽船は3月12日、ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社が提案する海運DXソリューションの一環として、今治造船グループの多度津造船で竣工したLNG燃料自動車船「CENTURY HIGHWAY GREEN」に、通常の衛星通信システムに加え、LTE回線を用いたIP/MPLSソリューションを導入することを決定したと発表した。

<ネットワークイメージ>
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<「CENTURY HIGHWAY GREEN」に搭載したアンテナ>
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十分な通信速度と高度な暗号化通信を両立させたFAN(Field Area Network)環境を船陸間で実現させることにより、国内外の寄港地において様々なデジタル技術を活用し、船内業務を高度化していく。

通常、一般商船の通信は衛星を介して行われるが、衛星通信の通信速度は陸上通信に比べて10年遅れていると言われ、船へのデジタル技術導入のボトルネックの一つとなっている。
  
4G/LTE通信インフラを導入することにより、着岸中は従来よりも大容量の通信利用が可能となり、陸上と同じレベルで先進的なデジタル技術を活用した現場作業、安全管理の向上や技能・技術の共有が可能となる。

今後、船内作業・荷役状況を陸上オフィスから視認し、遠隔で支援する等の取り組みを通じ、荷役や船内作業の安全、効率のさらなる向上を目指していくとしている。

一方、ノキアが今回提供する産業用通信ソリューションは、Nokia 7705 SAR-Hm(産業用LTEルーター、船舶に設置)、及びNokia 7705 SAR-8(同ヘッドエンド装置、陸側オフィスに設置)により構成される。

すべてのデータはNGE(Network Group Encryption)と呼ばれる暗号技術によって保護される。この特殊な暗号技術は、MPLS層でより少ないオーバーヘッドで実装され、マルチサービスに対応し、LTEリンク性能を劣化させることなく高いレベルのセキュリティとサービス品質を保証する。このソリューションは、海外の鉱山採掘現場、電力網、港湾等での実績があるが、日本では今回が初導入となる。

川崎汽船は昨年8月に発表した経営計画において、戦略的成長分野への取り組みとして、業界トップクラスの安全かつ環境負荷低減に資する高品質な輸送サービスの提供することを掲げている。DXはそのための重要手段と認識し、今回はそのための基盤整備として船陸間の通信インフラ高度化を決定した。今回の設備を導入することで、先進的なデジタル技術の開発・活用を加速させ、より安全で高品質な輸送サービスを追求する。

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