野村不動産は6月4日、千葉県習志野市の物流施設「Landport習志野」内の「習志野Techrum Hub(テクラム・ハブ)」で見学会を実施した。
<保管・ピッキングの省人化を実現する日建リースの自動化展示>
「習志野テクラム・ハブ」は、野村不動産が推進する物流DXのための企業間共創プログラム「テクラム」の効果検証拠点。物流効率化に寄与する機材メーカーなどが集まり、荷主・物流企業を対象とした物流ソリューションを展示している。また自動化などの現場改善に必要なアドバイスや導入にかかる金額など具体的な相談にも応じている。2022年4月からスタートし、コンセプトに同調する企業は年々増加し、2025年5月時点で114社が参画している。
2024年のリニューアルに伴い、業種・品物・荷姿ごとに最適なソリューションの組合せを実作業現場のフローやプロセスに沿って設置。入荷~出荷の一連工程を30社・70種類以上の機器を用いて、5つのパターン(ストーリー)を構築して紹介している。
見学会では、メディアのほかに荷主・物流企業を対象としたさまざまなソリューションが、上記のストーリーに沿って公開された。
自動化には、省人化のほかにミスを減らすという側面もある。物流倉庫において起こりやすい人為的ミスとして、仕分けの際に起こるものがあるため、そこに自動化を導入するケースも見られる。
スキャンした小物を自動的に左右のかごへ仕分けるオムニソーターは、用途に合わせて小さいサイズも展開。用途や倉庫の広さによって選択が可能だ。
倉庫内のシステム化や自動化に限らず、トラックバースで活用できる機材も展示。トラックの荷台奥まで伸縮するコンベヤは、出入りの手間を削減し、積み下ろしの時間短縮に繋げられる。
作業者が装着しているパワースーツは、30kg以上の荷重を補助でき、飲料など重くなりがちな荷物にも利用可能だ。
<自動フォークリフトと水平流動ラックの展示>
公開されている内容は上記のほかにも多岐にわたり、「入荷」「出荷」「パレットハンドリング」「個別ソリューション」を軸に機材やシステムを展示。相談に来る企業が抱える課題に合わせて、適切な機材などを比較・相談しながら決めることができる。
<野村不動産 都市開発第二事業本部 物流営業部 藤﨑潤 副部長(左)と物流事業部 稲葉英毅 部長(右)>
本格的な稼働から3年余を経て、現状について野村不動産 物流営業部の藤﨑副部長に聞くと「あくまで目的は荷主の効率化を進めること。ショールームとして施設の賃料は発生しているが、そこで利益を上げるというわけではない。展示を通じて改善事例を広く知ってもらうきっかけになれば」と述べた。
また、リニューアルに際し変わった点について、「展示に一連の流れを作ったことで、臨場感が出た。さらに商談の時間を取り入れるようになり、提案率が従来の20%から60%に上がっている」とその効果を語った。企業からの相談については「省人化を求める声が多いが、機械も安くはない。自動化が目的ではなく、事業に合わせた効率化が目的なので、適切な提案をしていけるように意識している」と答えた。
こうしたツアー形式の見学会は今後も月2回のペースで実施していくとしている。