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アマゾン/千葉みなとFCをツアーに先駆け公開、人を楽にする自動化

2025年06月30日/3PL・物流企業

Amazonは6月30日、一般向け見学プログラム「Amazon Tours(アマゾンツアー)」の日本実施に先駆け、メディア向けに公開した。

<アマゾン 千葉みなとフルフィルメントセンター 外観>
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アマゾンツアーは、一般に向けて物流拠点の設備を公開するツアー形式のプログラムで、2025年中の開始を予定している。実施場所は千葉県千葉市の「千葉みなとフルフィルメントセンター(千葉みなとFC)」で、60~90分程度のツアーとなる。

入荷から出荷にかけての工程を順を追って見学する形式となっており、Amazonの活動に興味を持つ人が増えてきた中で、より物流を身近に感じてもらうことを目的として開催する。

なお、国外ではアメリカ合衆国、フランス、イタリア、ドイツ、オーストラリア、イギリス、カナダの一部FCで実施されており、日本での開始タイミングではインド、メキシコ、ブラジル、スペイン、ベルギー、ポーランドと同時のスタートとなる。

<入荷時の仕分けの様子。作業者の頭上にはスポットクーラーが設置されている>
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延床面積12万m2の千葉みなとFCでは、1日につき60万件ずつ入荷と出荷を行い、従業員延べ2000人以上が、24時間365日休みなく稼働している。

ドッグエリアからトラック荷受けをした荷物は、受領検品を経て倉庫へと保管される。受領検品では、商品一つ一つのコードを読み取り、ダメージがないか、期限が正しいかといった情報を確認する。青コンテナ(オリコン)へと入れると、Amazonのサイト上で「在庫あり」と表示する仕組みだ。

1日かけての立ち作業となるため、作業者の足元には疲労軽減マットが敷かれており、働きやすい環境への配慮も見られた。

<ピッキングシステム「アマゾンロボティクス」>
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在庫管理と出荷の要となるのが、アマゾンロボティクスだ。黄色い棚のポッドと、それを運ぶ青い自走マシンのドライブ、そして作業者が立つステーションの3つからなる。

入荷された商品は、黄色い棚(ポッド)にランダムで並べられる。商品の位置を機械が判別するため、場所を決めずに空いたところから収納できる点が効率アップにつながる大きなメリットだ。

ポッドの下には青い走行機器(ドライブ)が入り込み、ピッキングを行う作業者がいる場所(ステーション)までポッドごと運搬する。ステーションにポッドが到着すると、その時に取るべき商品の入った棚の段が背後から照らされ、作業者はそれに従って商品をピッキングする。

<出荷すべき商品の位置が照らされる仕組み>
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棚にはコードが付いており、以前は各自作業者がコードを読み取っていたが、現在はカメラで商品の自動登録を行うようになっている。コードが読み込まれた棚は、再び空き棚として商品を受け入れる体制になる形だ。

なお、千葉みなとFCには各階層に1万台、合計3万台のポッドが収められており、ポッドを運搬するドライブは全階層で合わせて2600台ほどが稼働している。

<これ以上積載できない箇所が紫色に照らされるシステム>
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また、ポッドが4面の棚である点から、商品を搭載する際に積載量のバランスが重要となる。重量が偏ると事故につながる可能性もあるため、これ以上商品を載せられない状態になった場合は、紫色のライトでその位置が照らされる仕組みになっている。

<アマゾンツアー内で公開されたアマゾンロボティクスの様子>

ドライブは床のコードを読み取ることで自走する。システムで全体の動きを統括しているため、所狭しとポッドが並べられていても、互いにぶつかることなく運搬できる仕組みになっている。

<日本で開発された自動梱包マシン>
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商品を発送する際には、紙による梱包が行われることがある。その際に機能するのが自動梱包マシンだ。日本国内で2021年に開発し、現在は他の国のFCでも活用されている。

自動で商品の大きさを判別して、最小限の包材で梱包するため、無駄がなくサステナビリティにも適する。空間の無駄も減り、トラックの積載効率アップにも寄与するという。

<段ボールでの梱包作業の様子>
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複数の商品を一つに梱包する際にも、システムが関与する。ディスプレイに梱包する個数が表示され、該当する商品をスキャンすることで専用のテープが排出、それを段ボールに貼り付けることで出荷の準備が整う形だ。

適切な箱の種類についても、梱包する荷物からシステムが予測したものをディスプレイで推奨サイズとして表示する。作業者の思考する負担を少なくし、梱包の無駄も削減可能だ。

<カフェテリアのメニュー(食品サンプル)>
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2階のカフェテリアには、従業員向けメニューのサンプルを設置し、安価で、手軽に利用できる。千葉みなとFCでは、あたたかい食事を出すことにこだわっているという。

千葉みなとFCの片桐 秀行 ゼネラルマネージャーは、ツアーで注目してほしいポイントについて「人のサポートをするテクノロジーが重要な点。人を楽にしているところを特に見てもらいたい。作業自体は『データ登録』『棚に入れる』などシンプルなものになっている。覚えやすい仕事で楽しく働いて、現場での改善案を見つけやすくする環境を目指している」と述べた。

なお、完全自動化については「現在は人の作業を楽にすることにコストをかけているが、今後ゆくゆくは、新テクノロジーを投入することもある可能性はある」という程度にとどめた。

■アマゾンツアー概要
開催期間: 2025年に開始予定
場所: 千葉みなとフルフィルメントセンター (千葉県千葉市)
対象者: 6歳以上、18歳未満は必ず保護者同伴
参加方法: 今後開設される特設ページで事前予約
参加費:無料

アマゾン/物流拠点を一般公開するアマゾンツアーを2025年中に開始

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