ヒューリックと日本航空(JAL)は11月18日、千葉県成田市下福田地区で開発を進めている国際物流拠点「WING NRT(ウイングナリタ)」の現地見学会を開き、造成工事の進ちょく状況などを説明した。
成田国際空港から車で15分ほど、約45万m2に及ぶ広大な敷地に、航空上屋施設(保税蔵置場)と物流施設を一体的に整備する計画。空港に第3滑走路が新設され国際貨物需要が増えるタイミングをにらみ、2029年春に施設を稼働させることを目指す。
開発用地はヒューリックが取得したもので、2025年1月、造成工事が始まった。現在は切土・盛土の工事中で、2027年3月頃には造成を終え、約2年の建築工事に着手する見通しという。
「WING NRT」は、航空機を連想させるWorldwide-cargo Innovation Gate の頭文字と、成田の空港コードを組み合わせた名称で、上屋棟と物流棟が隣接する国内初の国際物流拠点となる。
上屋棟は約15万m2、物流棟は2~3棟構成で約30万m2近くなる計画。上屋棟はJALがヒューリックから1棟借りし、通関と検疫を含め一気通貫で航空貨物をサポートする。
ヒューリックとJALは共同で2026年中に、建物管理やリーシングなど、この街区を一元的にオペレーションする運営会社を立ち上げる準備も進めている。
立地としては、成田国際空港とのアクセスの良さが特長。現在は車で約15分の距離だが、北千葉道路の開通により約10分に短縮される。
人材確保面では、成田市だけでなく茨城県も通勤圏内に入り、広域から確保可能。主要駅からシャトルバスを運行するなどする。
成田国際空港の機能を補完し、東アジアのハブとして日本と世界をつなぐとともに、電子部品、医薬品、農水産品、越境ECなど輸出入基地として国際競争力を強化する狙いだ。
現地見学会でヒューリックの黒部三樹 専務執行役員は、土地・建物に投じる総事業費は千数百億円に上ると明かし、「『WING NRT』で提供できるサービスのパッケージで訴求し、施設竣工とテナント入居が同時期になるよう計画を進めたい」などと語った。
<JALの藤本 開発グループ事業プロジェクト統括グループ長>

また、JAL貨物郵便本部事業推進部の藤本俊英 開発グループ 事業プロジェクト統括グループ長は、成田国際空港北部地区に分散する6か所の貨物施設が老朽化・狭隘化していることを課題に挙げ、「上屋棟と物流棟が隣接することで格段に輸出入のスピードが上がる。最新のマテハンを導入するなどして機械化と省力化も進めたい」と意気込みを語った。
■計画概要
所在地:千葉県成田市下福田地区
全体土地面積:約45万m2(約13.6万坪)
建物面積(予定):合計約42万m2(約13万坪)、上屋施設約15万m2(4.5万坪)
開業時期:2029年予定
ヒューリック、JAL/成田空港近接地45万m2で大型物流拠点を共同運営へ、2029年開業目指す



