三菱地所は3月31日、神奈川県厚木市上落合において開発を進めていた、地上4階建て延床面積2万9900m2のマルチテナント型物流施設「ロジクロス厚木」が3月23日に竣工したと発表した。
<2階から見た入口付近。コンビニも目の前で、住宅が立ち並んでいる>
場所は、厚木市を中心に、都心部消費地への配送をはじめ、圏央道・東名高速道路・国道129号線へのアクセスが良好であることから、首都圏広域、関西・東海地方への配送も可能とする物流拠点となる立地。
加えて、新東名高速道路の開通(2018年度予定)により、さらに利便性が高まっていくことが期待される。
また、小田急小田原線愛甲石田駅から徒歩圏内で、路線バスの運行があることから通勤において良好な環境。
施設は、ドライバー用喫煙室とトイレ等の実用性の高いアメニティの充実を図り、各階の専有部内に休憩室や喫煙室、給湯室を設ける等施設で働く方々に配慮した職場環境の整備につとめており、テナントの雇用確保に寄与する。
立地と施設計画が評価され、関西・首都圏エリアを中心に倉庫業などを営む三鷹倉庫と全棟賃貸借契約を締結した。
三鷹倉庫は、物流のトータルサポート企業として、本来の倉庫業務からコンサルタントサービス迄提供し、この物件においてもマルチテナント型物流施設として賃貸営業を引き続き行っており、現在多くの引き合いがあるという。
施設面では、1階に大型トラックが着車可能なトラックバースを2方面(L字型)に設置。貸付区画は最大3区画まで分割対応可能とし、約9300m2から貸付可能。
床荷重 1.5t/m2、梁下天井有効高 5.5m 以上、柱スパン10m以上、全館LED対応と最新の物流施設が備える汎用性の高い仕様。
各区画に荷物用エレベーター(積載荷重 3.5t)、カゴ車・パレット兼用垂直搬送機(積載荷重 1.5t)を各1~2基ずつ設置し、効率的な物流オペレーションをサポートする。
<建物外側にドライバー用のトイレと喫煙所。通常男女共用が多いが女性ドライバーが多くなったことから新たに女性用を独立>
<車両の出入り口にランプと音声で合図する機器を装備。近隣の迷惑にならないようにスピーカーは下向きに設置>
アメニティ面では、施設で働く人々の職場環境を配慮し、各倉庫区画に対してそれぞれ喫煙室・休憩室・給湯室を設置。庫内従業員だけではなく、トラックドライバーにも配慮し、専用のトイレ・喫煙室も設置している。
また、非常用発電機、緊急用備蓄倉庫を設置し、緊急時におけるテナントの BCP をサポートしている。
三菱地所が再開発を進めている丸の内エリアのオフィスビル(JXビル/閉館済み)にて使用していたOAフロアパネルを事務所に再利用し、環境に配慮した取組を行った。
なお、全棟賃貸借契約を締結した三鷹倉庫は「創業より54期を迎える。一昨年より倉庫賃貸事業の拡大を目指し、社内体制を整備してきた。当社にとってロジクロス厚木は2案件目となる。今後はロジクロス厚木の立地優位性を最大限に活かし、当社の関東エリアの重要な経営基盤として大切に育てていきたいと考えている」とコメントしている。
三菱地所物流施設事業部の竹田徹部長は「ロジクロス厚木の立地の良さに、当初、アパレルメーカーや食品、飲料メーカーを始めあらゆる消費財産業の企業から引き合いがありました。この場所は以前コニカミノルタの研究施設があった場所で、人口集積地が近く、雇用にも最適な場所。首都圏広域から関西・東海地方への配送も可能とする物流拠点となり得る場所です。すぐそばには新東名高速道路の建設も進められています」と話す。
結果として1社と全棟賃貸借契約となったが、基本はマルチテナント型で開発を進めていたもの。そのため、垂直搬送機の追加や女性用の休憩室の追加などカスタマイズできる要素を十分に盛り込んでいる。
三菱地所の単独開発としては、2014年10月竣工のロジクロス福岡久山が最初で、2棟目。6月には近畿圏のスーパーマーケット「さとうグループ」の専用物流施設の竣工を控えている。
■概要
所在地:神奈川県厚木市上落合柳添231-1(地番)
アクセス:国道129号線まで約1.0km、小田原厚木道路厚木西IC まで約0.9km、東名高速道路厚木IC まで約2.5km、小田急小田原線愛甲石田駅から徒歩約20分
敷地面積:1万4782m2
延床面積:約2万9900m2
構造:柱・梁S造、地上4階建
設計・施工:鴻池組
設計監理監修:三菱地所設計
用途:マルチテナント型物流施設 複数テナントによる分割利用が可能
着工:2016年5月6日
竣工:2017年3月23日
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