物流改革でさまざまな施策を展開
きくや美粧堂では岡山県に「ウエスト・ロジスティクス」を、東京・大田区に「イースト・ロジスティクス」を構える。この2拠点で日本全国をカバーしている。8月18日には、イースト・ロジスティクスをTRCの物流ビルA棟から、竣工したばかりの物流ビルB棟の1720坪に移転し本格稼働を始めた。
「以前は物流ビルA棟の1150坪を借りて展開していましたが、新しく物流ビルB棟を竣工するということから、移転を決めました。理由はいろいろありますが、立地が良く、従業員もほぼ同じ場所なので確保しやすく、さらに物量の増大、新しいサービスを睨んだ展開から決定したものです」と同社サプライチェーン部の大久保尚彦部長は話す。
新しく物流ビルB棟に移ったことから、同社ではさまざまな新しい施策を模索している。その一つがラストワンマイルへのサービス向上だ。
「去年あたりからドライバー不足等で、今後本当に顧客の要望通り、商品が届くのか、不安となる要素が現れています。繁忙期に商品が届かない恐怖感があります。そのため、1年前から試験的に一部自社社員による配送も行っています。多くの顧客が渋谷や青山周辺にあり、この物流ビルB棟から30分くらいで配送できます。社員は時間のある時に交代で配送するようにしていますが、顧客とのコミュニケーションもとることができ、生産性もアップしています。ありがとうと言われればモチベーションも上がりますから」と大久保部長。
顧客と直に接することがビジネス上で新たなメリットを生んでいるわけだ。
さらに、新しい施設に移ったことから、ロボット化、自動化を積極的に進めている。
「ロボット化についても試験的に始めています。フェッチ社とオムロン社のモデルを試験導入し、自律型搬送ロボットとして活用しています。今後確実にロボット化の時代は来るものと考えており、その時に慌てなくていいように、検証を行っています。社員の評判もよく、ニックネームをつけて呼んでいますね」と同社サプライチェーン部の松丸忠広マネージャーは話す。
レンゴー社製のシステム、自動封函機「e-Cube」の導入もその一つ。段ボール内の商品の高さを検知し、その高さで折れて封函する。段ボールサイズが小さくなるため、無駄な緩衝材が必要なく、トラックへの積載効率も上がるという。
VOICEピッキングでは、ヴォコレクト社のシステムを導入。注文はすべてサーバーから、音声でピッキング作業者に指示が出る。作業者は紙のリストやハンディターミナルを持つ必要がなく、両手フリーで作業できる。「思わぬ効果として、おしゃべりが少なくなり、とても効率的になっています」と松丸マネージャー。
そのほか、現場で働く多くの女性従業員を考慮し、オリジナルなマテハン機器を考案・採用している。「ケースで入ってきたものをピッキングエリアの棚に運ぶチャージ用台車では花岡車両にお願いして作ったのが、華奢凛(きゃしゃりん)です。積み上げたケースを取る位置がいつも一定の高さになるようにスプリングを効かしたものです。低い位置になると腰にきますからね」と松丸マネージャー。なお、華奢凛とは、華奢な女性でも凛とした姿勢で対応できることから、ネーミングしたとのこと。
また、3limカートも独特。3ボックスが収納できるが、それぞれに角度をつけ、取り出しやすいように設計。さらに、ボックスの色を合わせることで、小さく重ねたり、積み上げたりできる工夫を図っている。