オリックスの物流施設開発の歴史は2002年に始まる。
当初は建物リースから始まったが、有望な市場と見極め、翌年からはBTS型やマルチテナント型の物流施設開発を行うなど、段階を踏んで今日の物流施設開発を進めてきた。
2008年のリーマンショック時も各社が開発を控える中、開発を進めており、その根底にあるのが開発での基本姿勢だ。
不動産事業本部の久保田勲副本部長は「適正な市場に適正な規模の施設提供」と何度も口にした。今後もオリックスグループの持つさまざまなリソースも活用し、人手不足に対応した省人化、省力化を目指した物流施設開発に積極的に挑むという。
開発はオリックス、運営はオリックス不動産
―― 久保田副本部長はLNEWSでは、2011年3月の川越ロジスティクスセンターの取材以来です。不動産部門でのオリックスとオリックス不動産のそれぞれの役割をお聞かせください。
久保田 端的に言うとオリックス本体が不動産ディベロッパーとして施設開発を行い、オリックス不動産は施設運営を行っているということです。オリックス不動産は、ホテルや旅館、研修所、ゴルフ場、高齢者向け住宅、さまざまな施設の運営を行っています。一方、施設開発はディベロッパーとしてオリックス本体の不動産事業本部が行っています。以前は、物件のタイプによってちょっとわかりづらい部分もあったのですが、2017年に組織再編成を行い、今は分かれています。
―― オリックスが物流施設開発に取り組んだ時期は。
久保田 2002年が最初でした。当初、土地を借りて、建物代金を回収するリースの形態から始めました。すでに、外資系のディベロッパーが先進的物流施設の開発を行っており、我々も物流施設開発のマーケットが将来的に十分あると感じていましたが、まだまだ半信半疑でした。
―― 開発を推進した要因は。
久保田 当初は土地を買って開発しても、実際テナントさんが集まってくれるか不安はありました。第1号案件は大手化粧品メーカー専用のBTS型物流施設を建物リースの手法で開発しました。そこで、物流施設マーケットを理解するなかで、2007年あたりからマルチテナント型施設開発を始めました。段階を踏んで、実績を積み重ね、会社に説明し、徐々に開発を拡充し、現在に至っているわけです。
―― 2002年ごろというと、物流施設開発のプレーヤーもまだ少なかったですね。
久保田 当時は外資系か商社系の限られたプレーヤーしかいませんでした。現在のように、さまざまな分野から多数の企業の参入が相次いでいるということは、有望なマーケットに育ってきたということですね。
―― 現在までの開発概要は。
久保田 現在までに約40棟の開発を行いました。当初はBTS型でしたが、ここ最近はマルチテナント型が多いですね。実際は、マルチで開発中にテナント1社に全棟貸となることもあります。BTS型は土地を購入する前に顧客を掴んでおく必要があり、現在のスピード感からすれば難しく、マルチの展開が中心になっています。ただ、BTSとかマルチとかはあまり意識せず、マーケットがある場所で適正な施設開発を進めて行くつもりです。
<オリックス・レンテックの「Tokyo Robot Lab.」>