プロロジスは4月2日、東京都墨田区にある都市型物流施設「プロロジスアーバン東京押上1」の一角を改装し、インキュベーション施設「inno-base(イノベース) TOKYO-OSHIAGE」をオープンした。
<「プロロジスアーバン東京押上1」外観>
<5階に開設した「inno-base TOKYO-OSHIAGE」>
この物流施設の1~4階は配送センター、5階は複数企業が入居するオフィスフロアで、5階の一部(約100m2)が「inno-base TOKYO-OSHIAGE」になった。
物流の課題解決につながるロボット開発を行うスタートアップや、大企業の新規事業などを支援する場として、シェアオフィスのように使ってもらう。
インキュベーション施設としては、茨城県つくば市のBTS型物流施設「プロロジスパークつくば3」内に2023年に設けた「inno-base TSUKUBA」に続く2拠点目。
立地は押上(スカイツリー前)駅から徒歩5分と近く、東京にオフィスを持ちながら、開発したロボットを実際に動かしてみたい時は「inno-base TSUKUBA」の実験実証エリアやシェア倉庫を利用するといった使い方ができる。
プロロジスの山田御酒 会長兼CEOは「物流施設のデベロッパーとして、ハード面のスペースを提供するだけでなく、もっとソフト面で付加価値を加えるため、物流課題の解決につながるソリューションの提供を目指したかった」と狙いを語る。
「inno-base TSUKUBA」は開設以来、累計12社が入居。このうち、産業用自動フォークリフトを開発・販売するハクオウロボティクスとは、2024年8月に資本業務提携を締結するなど、支援実績も生まれている。
今回オープンした「inno-base TOKYO-OSHIAGE」がユニークなのは、かつて施設に入居していた企業の物流スタッフが利用する大浴場エリアだった点だ。
もう使われていなかったシャワー設備が並んでいた洗い場は、壁沿いにカウンターを設置し、1人ずつ座れるデスクにした。
浴槽があった場所は、掘り込みを生かしたブース席に。浴場の名残や庭園の趣を感じながらもデスクワークに集中できる環境をつくった。
今後、支援企業の拠点エリアを首都圏から全国へと拡大。専用ブース(9席)は月額6万円、シェアオフィス(12席)は月額4万円ほどで入居者を募るという。
2日のオープニングイベントに出席したハクオウロボティクスの塩原努COOは、「ロボット開発の実験場所を探していた時に『inno-base TSUKUBA』を知り入居を即決した。プロロジスからは場所の提供だけでなく、顧客やデモ・展示の機会を紹介されたり、他の入居企業との連携事業につながったり、物流マーケットの入口に導いてもらえた。実用化の実績をつくることで恩返ししたい」などと語った。
■「プロロジスアーバン東京押上1」概要
所在地:東京都墨田区押上2-21-2
階数:地上5階建て(地下1階、耐火構造)
敷地面積:2433.63m2
延床面積:6925.64m2
改修工事完了:2022年9月
■「inno-base TOKYO-OSHIAGE」概要
所在地:プロロジスアーバン東京押上1内
延床面積:約100m2